2019年12月号記事
幸福実現党 党首
釈量子の志士奮迅
第85回
幸福実現党党首
釈量子
(しゃく・りょうこ)1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒。大手企業勤務を経て、(宗)幸福の科学に入局。本誌編集部、常務理事などを歴任。2013年7月から幸福実現党党首。
釈量子のブログはこちらでご覧になれます。
「地下神殿」が多くの命を救った
台風19号で亡くなられた多くの方々のご冥福を心からお祈りすると同時に、被災された方々へのお見舞いを申し上げます。
広範囲の豪雨により、洪水などで甚大な被害が発生しました。「コンクリートが人の命を救う」ことを改めて痛感させられます。
堤防の決壊は、7県の71河川で128カ所に及んでいます(10月18日時点)。河川の形状から被害がある程度予想されていた場所や、堤防の整備が遅れていた場所も多かったと言われています。
一方で注目されているのが、大規模な治水施設が多くの被害を防ぎ、人命を救ったことです。
「コンクリート」の活躍
その一つが「地下神殿」と呼ばれている「首都圏外郭放水路」(埼玉県春日部市)。川から溢れた水を地下に取り込み、全長6.3キロメートルのトンネルを通じて、江戸川に排出します。この施設が、周辺地域のみならず、ハザードマップでは一面真っ赤になっている江戸川区の浸水を防いだと言われているのです。
私は10月16日、同施設を視察。そのスケールに圧倒されました。
水路全体で、東京・池袋の「サンシャイン60ビル」と同じ容量という驚異的な水量を貯めることができます。施設に使われる排出ポンプは、航空機用に開発された巨大タービンを改造したもの。25メートルプール1杯分の水を、たった1秒で排出するという、世界最先端の設備です。
「地下神殿」という通称の通り、普段は単なる巨大空間です。そしてその総建設費は、2300億円。民主党政権が掲げた「コンクリートから人へ」的な発想をする人からすれば、無用の長物に見えたかもしれません。
しかし、台風直後に私が訪れたところ、スペースシャトルがすっぽり入る高さ70メートルの第一立坑には、50メートル分もの水が貯まっていました。「放水路がなければ、この水が街を飲み込み、人命を奪っていたかもしれない」と思うと、ゾッとします。
実際この放水路は、10年間で1008億円相当もの浸水被害を軽減する効果があったと言われています。お金の面だけで見てもあと10年で「元が取れる」ことになります。それ以上に、かけがえのない多くの人々の命を救ってきました。
同じように注目を集めていたのが、民主党政権が建設を中断したことで有名な群馬県の「八ッ場ダム」でした。10月1日に完成し、試験湛水が開始されたばかりでしたが、台風の雨水を約1億トンも貯め、下流の氾濫防止につながったと言われています。
〈左〉高さ70mの立坑には50m分もの雨水が貯まっていた。〈右〉高さ18m、59本の柱が並ぶ巨大空間である調圧水槽。「地下神殿」の呼び名の由来となった。
「建設国債」で防災大国へ
災害が年々激甚化し、防災インフラのほころびが出始めている今、日本は防災インフラを質・量ともに強化するべく、「建設国債」を発行し大規模な投資を行うべきです。
その国債は、単なる「借金」ではありません。整備されたインフラは、将来にわたって、経済的にも人命的にも被害を防ぐ「国民の資産」です。
さらに今回の災害復興のため、消費税を5%に引き下げるべきです。増税前、安倍晋三首相は、「リーマン・ショックまたは東日本大震災級の災厄でも起きない限り、予定通り引き上げる」としていました。増税不況、米中摩擦による世界不況、そしてこの度の災害を合わせれば、十分にその要件を満たすはずです。
幸福実現党は、この国を「防災大国」とし、国民の安全・安心・幸福を守ってまいります。
幸福実現党は災害被災者支援義援金を募集しています。詳しくはこちらまで。