アメリカの病院経営大手HCA社が今週、ニューヨーク証券取引所での新規株式公開(IPO)で約3140億円を調達した。同社は全米に約350の病院を所有し、年商200億ドル(1兆6500億円)の世界最大の医療企業。

アメリカでは株式会社による病院経営が一般的。「企業は金儲け優先」という批判があり、実際にHCA社も老人医療保険で過剰請求するなど問題を起こしてはいるが、こうした資金調達を考えれば、株式会社経営は極めて有利だ。

病院の株式会社経営が日本でも認められれば、株式や社債の発行が可能になる。今の病院はCTやMRIなど高額医療機器の設備投資が不可欠。しかし、日本の病院(医療法人)は医療法で徹底した非営利性が求められており、医療法人が株式や社債を発行することは禁じられている。結局、銀行からの融資しか資金調達の手段はなく、適切な投資ができにくいためサービスが低下し、赤字病院が7割にものぼる結果を招いている。

アメリカの医療企業の極端な営利主義を排除しながら、日本の病院に株式会社経営を導入することで、税金を際限なく注ぎ込む赤字の医療保険の問題を解決していくことができる。(織)

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