《本記事のポイント》
- ギリシャへの8年間にわたるEUの金融支援が20日に終了した
- EUの加盟国同士の助け合いは、"強い国"による"弱い国"へのバラマキにつながる
- 欧州各国は、他国の支援を頼るのではなく、自助努力で発展・繁栄できる国を目指せ
ギリシャの財政危機が発覚した2010年より、8年間にわたって続けられてきたEUの金融支援が20日をもって終了した。
ギリシャは09年、財政赤字の過少申告などで金融市場の信頼を失い、財政危機に陥った。欧州連合(EU)などから受けた支援は、8年間で総額約2890億ユーロ(約36兆円)に上る。
ギリシャはEUの指導の下、年金受給年齢の引き上げや支給額の削減、増税などの緊縮財政策を進めた結果、財政黒字化を達成。経済成長率も、17年にはプラス1.4%に改善した。
しかし、国内総生産(GDP)は、危機前の約4分の3に縮小し、公的債務はEU加盟国最大となる対GDP比で約180%。17年の失業率は21.5%で高止まりしており、経済が改善されているとは言い難い状況だ。
ギリシャ財政を圧迫したのは、50代から受給可能な年金制度や、公務員への手厚すぎる待遇などの社会保障政策の肥大化にある。
EUが支援の条件として、これらの是正を求めるのはやむを得ないことだった。しかし同時に行った付加価値税などの増税が、経済停滞を招いた一因であることは否定できない。
バラマキによる国力低下より、各国の自助努力による発展を
しかし、そもそも、EUのような「加盟国同士での助け合い」は、各国の発展や独自の国家運営に支障を来たし、制度設計に無理があったと言える。
EUに加盟しているのは28カ国(19年3月に離脱予定のイギリスも含む)。経済力のある、EUのリーダー的存在であるドイツのような国と、財政危機に陥るギリシャのような国が、"共同体"として国家を運営するのは困難である。
そのため、EUでは結果的に、ドイツやフランスなどの豊かな国が、経済力の乏しい国を援助する側となった。そうした国々の国民から、「私たちが納めた税金を、なぜ自国の発展ではなく、他国に使うのか」と不満が噴出するのも当然だ。
EU加盟候補国は、トルコ、マケドニア、セルビア、モンテネグロ、アルバニアという、経済や政治不安を抱える国ばかり。それらの国は、加盟による経済的利益の獲得を期待しているが、豊かな国から貧しい国へのバラマキが加速するのは明白だ。
イギリスがEU離脱を決めたのも、これ以上の支援や援助という名目で国力を削がれることに「No」を突き付けたためである。
EUのあり方については、大川隆法・幸福の科学総裁は著書『繁栄への決断』で次のように述べている。
「 例えば、今、EUとして、ヨーロッパの諸国が連合しても、弱者連合であるために、社会福祉的な思想が中心になっています。豊かな国は一部しかありません。EUに入りたがっている国は、貧しい国ばかりです。そして、そこからたくさんの難民が次々と流れ込んできています。やはり、ここで必要なことは、『自助努力からの発展・繁栄』です 」
ギリシャは金融支援からの"卒業"を機に、自助努力の精神のもと、健全な国家運営を行うことが求められる。同時に、「結果平等」の考えが色濃いEUも、あり方を見直すべき時ではないか。
(駒井春香)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『繁栄への決断』 大川隆法著
https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1785
幸福の科学出版 『地球を救う正義とは何か』 大川隆法著
https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1762
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