夫が転職してサラリーマンでなくなった妻が、自分の年金を国民年金に切り替えるのを忘れた場合、切り替えなかった未納期間分の年金をもらえなくなる。この人たちに対する救済策をめぐって菅政権が揺れている。詳しく解説している読売ほか5日付の各紙が報じている。

問題になっているのは、国会論議を経ずに厚生労働省の「課長通達」だけで救済策を決めていたこと、きちんと保険料を納めていた人に対して不公平な救済策であること、この通達自体を細川厚生労働相が知らなかったことなどであり、政府は批判を受けて新たな救済策を検討している。切り替え忘れの対象者は全国で100万人以上になる可能性があり、救済には「最大で数兆円の税金を投入することになる」(財務省幹部)との指摘も出ている。

だが、100万人もの人たちが手続きをしていない理由は「切り替え忘れ」などではなく、そもそも「切り替える必要があることを知らなかった」場合がほとんどであることは想像に難くない。制度が分かりにくいうえ、国民に十分知らされていないことのほうが問題だ。サラリーマンから自営業への転職が珍しくない現代の職業事情にも合わない。

年金制度は誰にでもわかりやすいシンプルなものに再設計すべきであるというのが、「切り替え忘れ100万人」から汲み取るべき最大の教訓だろう。(司)

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