2018年7月号記事

中国共産党の人権弾圧

「投獄され、拷問され、臓器を取られた」

神を信じると「罪」になる国 Part2

大国然として振舞う中国だが、その内実は、過酷な人権弾圧が続く「監獄国家」だ。

先月号に引き続き、その実態に迫る。

(編集部 大塚紘子、長華子、小林真由美)


contents


Part3

クリスチャンたちの告発 Interview

信仰は民主化の土壌になる

中国民主活動家・劉暁波氏の研究で知られる作家に中国国内のキリスト教徒迫害について聞いた。

作家

劉燕子

(リウ・イェンズ)北京に生まれ、湖南省で育つ。1991年に留学生として来日。現在は日本の大学で教鞭を執りつつ、日中バイリンガルの作家として著述・翻訳を行う。日本語の編著訳書に、『チベットの文化大革命』(集広舎)、『天安門事件から「08憲章」へ』、『「私には敵はいない」の思想』(ともに藤原書店)、『劉暁波伝』(集広舎)などがある。

──中国共産党のもとでのキリスト教の状況を教えてください。

劉燕子氏(以下、劉) : 中国では、1966年から77年の文化大革命のときに、キリスト教だけでなく、仏教、イスラム教などすべての宗教が弾圧され、特に浙江省温州では「無宗教区」として徹底的に弾圧されました。しかし、密かに耐え忍んだ信徒により、信仰の灯が受け継がれ、いまでは「中国のエルサレム」と呼ばれるまでになりました。

このため、共産党当局も「直接的に宗教を消滅させるのは失敗であった」と認めています。

この経験から、共産党当局は現在、硬軟合わせた政策をとって、信者を懐柔していこうとしています。

例えば、今年2月、「宗教事務条例」が12年ぶりに改正されました。表向きは外国勢力の影響を排除するためという理由で、家庭教会などへの管理を強めています。しかし、家庭教会の信徒たちは、地下に潜伏して、不法な活動をしているのではありません。神様を信じ、教えを学んでいる地上の光の子です。中国の牧師で法学者の王怡氏は、「改正された条例は、信仰において邪悪、憲法において違憲、政治において愚かである」と批判しています。

また、懐柔策として、宗教の「中国化」が進められています。いま家庭教会のリーダーたちが心配しているのは、社会主義的価値観などを盛り込んだ「中国の特色のある聖書」が出回るのではないか、ということです。

教会が破壊されても、信徒たちは心の中に教会を立てています。でも聖書の中国化は、心の中の信仰に関わります。これが懸念されているのです。

次ページからのポイント

個の自覚を育てる信仰

日本に期待すること

人権は神様からいただいたもの / 郭宝勝氏(牧師・民主運動家)