2018年6月号記事
第68回
幸福実現党 党首
釈量子の志士奮迅
幸福実現党党首
釈量子
(しゃく・りょうこ)1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒。大手企業勤務を経て、(宗)幸福の科学に入局。本誌編集部、常務理事などを歴任。2013年7月から幸福実現党党首。
釈量子のブログはこちらでご覧になれます。
台湾政権ブレーンが語る日本の責任
李酉潭教授(右)との対談に先立ち、中国民主活動家・彫刻家の陳維明氏(左から2人目)も講演してくださいました。一番左の女性は、陳氏を支援するリース・キング氏。
台湾の蔡英文政権のブレーン的存在である、李酉潭・台湾国立政治大学教授と、4月中旬に東京都内で対談する機会がありました。
そこで李教授が私や聴衆に見せてくれたのが、「世界の自由度」を示す地図(下図)。これは、世界の国々を様々な指標から、「不自由」「部分的に自由」「自由」に色分けしたもの。つまり「自由主義と独裁主義の勢力図」です。
国際NGO団体「フリーダム・ハウス」調査より。
独裁に塗られていくアジア
世界でひときわ存在感を放っているのは、巨大な「不自由」国家である中国です。
中国の独裁体制は近年、「数位極権主義」という新たな段階に進んでいると、李教授は指摘します。それは、インターネットを使って人々をコントロールする、いわば「デジタル全体主義」とでも言うべきもの。
中国では今、顔認証で買い物ができます。さらに、「天網」と呼ばれるAI犯罪者追跡システムも稼働しています。
弾圧のレベルも上がっています。先日私に、新疆ウイグル自治区出身の方が「ある日突然、自分の親が袋を被せられて、『再教育キャンプ』に連行された」と訴えてきました。子供を日本に留学させた親などが、理由もなく連行される自治区内のキャンプには、少なくとも89万人が収容されていると言われています(*)。
第二次大戦中、ナチスのアウシュビッツ収容所に入れられていたのは、ピーク時で14万人とされます。中国は、人権弾圧の規模においても、そのためのテクノロジーにおいても、ナチスを超えようとしているのです。
独裁体制は、覇権主義という形で、周辺国にも触手を伸ばしています。それを示すのが、地図上の「部分的に自由」の領域です。中国は近年、香港の民主派も押さえ込みつつあります。東南アジア各国でも、財界を取り込み、港湾を買い、「一帯一路」構想で呑み込みつつあります。南沙諸島の人工島に建設した軍事拠点は、運用段階に移りました。ベトナムを脅して、石油掘削を止めさせたというニュースまで出てきています。
そんな中、東アジアで「自由」に分類されるのは、日本、台湾、韓国など、ほんの一部分。しかも台湾については、中国共産党が立党100周年にあたる2021年に統一することを目指していると言われています。
韓国は、文在寅政権下で北朝鮮と接近しつつあります。両国が、中国・北朝鮮と同化すれば、米軍はもうアジアに近づけなくなり、日本は孤立します。
(*)亡命ウイグル人組織運営のインターネットテレビ『イステクラルTV』が公表。
9条改正、台湾関係法を
日本が今、どれだけ危うい状況にあるのか―。こうした大きな目で見た時代認識がなければ、なぜ今、憲法9条を改正し、「自分の国は自分で守れる」体制をつくらなければならないのか、本当の意味で見えてきません。
そんな中、野党が「モリカケ問題」など国内のスキャンダルで騒ぐ姿は、滝壺へ落ちようとする船の底に、さらに穴を穿つがごとき行為にも見えます。
さらに日本には、同胞に手を差し伸べる姿勢も必要です。
アメリカのトランプ政権は3月、高官の相互訪問を促す「台湾旅行法」を制定し、6月には事実上の大使館を設置します。
一方日本は、台湾との関係を裏づける法整備さえしていません。「日本版・台湾関係法」を制定し、日本は台湾と正式な国交を結ぶべきです。そして、もし台湾が侵攻されれば、アメリカと共に防衛するくらいの体制も、当然必要となってきます。
幸福実現党は、世界的な視野で見たときに、必要なことを、訴え続け、悪魔の独裁国家と刺し違える覚悟で戦って参ります。