2018年5月号記事

第67回

釈量子の志士奮迅

幸福実現党党首

釈量子

(しゃく・りょうこ)1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒。大手企業勤務を経て、(宗)幸福の科学に入局。本誌編集部、常務理事などを歴任。2013年7月から幸福実現党党首。

釈量子のブログはこちらでご覧になれます。

http://shaku-ryoko.net/

「日本の領土」はお金で買える!?

「『外国人には売りません。話もしません』という貼り紙でもしようかと思う。札束でビンタされたくない」

北海道で中国人による土地買収が進んでいると聞いて現地視察へ向かうと、空き家の売り出しを勧められたことがあるという地元の男性から、こんな憤りの声をぶつけられました。

一見、外国人差別のように聞こえるかもしれません。しかし、街中に中国人向けの建売住宅が並び、「賃貸地」と書かれた土地が中国のネットショッピングサイト「アリババ」で売りに出されているのを見ると、それだけ強い言葉を使いたくなる、地元住民の警戒感が分かります。

北海道では今、7万ヘクタールもの土地が、中国人に買い占められていると言われています。これは、東京の山手線内側の11倍に相当する面積です(*)。

冒頭の男性は小樽市に住んでいますが、小樽市だけでも、数十人の中国人オーナーが、市内の家を買い、外国人観光客に貸し出す「民泊」を運営していることが分かっています(NHK調べ)。

(*)宮本雅史著『爆買いされる日本の領土』参照。

中国人向けの建売住宅。地元住民は販売に反対している。

「一帯一路」の一環!?

もちろん、土地買収の全てを否定することはできません。

中国には210万世帯の富裕層がいますが、その多くが中国共産党の崩壊や、突然の接収などに備えて、資産を海外に逃がしていると言われています。その逃避先に日本が選ばれていることは理解できなくもありません。

しかし問題は、日本人が中国で土地建物を購入できないのに対し、中国は日本の土地や建物を無制限に買うことができるという実態です。これは相互主義の原則に反します。

日本政府がこの現状を放置している一方で、中国は、戦略的な野心のもと、日本の土地を買っている可能性が濃厚です。

例えば釧路は、「中国が北極海を抜け、商船や軍艦を送るための中継地点になり得る」と言われています。もちろん、北海道の水や近海のエネルギー資源なども、"魅力的"でしょう。

つまり、土地買収が、「一帯一路」という覇権戦略に組み込まれかねないことも、視野に入れなければならないのです。

国際ビジネスマンたちの不安

札幌市で出会った別の男性は、土地が買われていく様子が、マレーシアに出張した際に見た衝撃的な風景と重なる、と語ります。

「中国企業が、マラッカ海峡最大の貿易港を建設していました。また別の中国企業は、森林開発をしていました。まるで中国に来たように感じました」

港湾建設について、中国国営メディアは「ビジネス目的だ」と主張していますが、「いずれ国が軍事利用する」という見方がほとんどです。その方は、同じ雰囲気を北海道でも感じ始めていると言います。

小樽市に住む経営者は、2010年に中国各地で反日デモが行われた時の体験を引き合いに、こう語ってくれました。

「当時、中国に3つの工場を持っていました。

ある日、午前中は通常通り仕事をしていた現地の従業員たちが、『午後から愛国活動をするので、日本の従業員は退去して下さい』と告げ、工場施設を破壊し始めたのです。インターネットでつながった監視カメラに映る工場の様子を、日本の本社から、口を開けて見ていました」

こうした体験から、たとえビジネス目的であっても、中国企業やその従業員が、大挙して地域に入ってきている現状に、不安を感じているといいます。

彼らは、中国人とも仕事をしてきており、決して、差別心を持っているわけではありません。ただ、目の前で目撃したことを思い出し、「日本や北海道で同じようなことが起きるのでは」と肌で感じているのです。

土地買収規制を求める署名

外国人による土地買収は、自国の治安や安全保障に直結するため、何らかの規制があるのが主権国家の常識です。

しかし日本では、外国の企業や個人が、土地を自由に買収できるようになっています。

そこで私たち幸福実現党・北海道本部では「外国人による不当な目的の土地買収等を規制するための署名活動」を始めています。「外国人による土地所有と利用目的、利用状況について調査し、実態を住民に周知すること」「自衛隊駐屯地周辺や水資源のある森林等の土地を、外国人が買収すること防ぐよう法整備をすること」を求めるものです。

「静かに進む侵略」への、いち早い対処が求められています。