地元の商店街で話を聞く松澤氏(左)。

2018年1月号記事

この地域には まだまだ可能性がある

鹿児島県薩摩川内市で市議として活動する松澤力氏に話を聞いた。

(聞き手・編集部 河本晴恵)

幸福実現党
薩摩川内市議会議員

松澤 力

プロフィール

(まつざわ・いさお)1982年生まれ、鹿児島県出身。鹿児島大学農学部を卒業後、大手コンビニチェーン店に入社。その後、HS政経塾を卒塾(第4期生)。2016年薩摩川内市議選で初当選。妻と2人家族。

「交差点の近くにベンチを置いてほしい。お年寄りが困っています」

最近、松澤力市議は商店街で八百屋を営む若い男性から相談された。店先から足の不自由な高齢者の姿が見えるという。

「市議は市民と行政をつなぐ役割を担います」(松澤氏)

「市営住宅の住民トラブルに対応してほしい」「交差点に信号を設置してもらいたい」など寄せられる相談事を担当課に知らせたり、議会で取り上げる。

地域の発展の鍵

鹿児島市中心部から車で1時間弱離れた薩摩川内市。この土地の強みの一つは、スポーツ施設が充実していることだ。

天候にかかわらず使用できる室内練習場「サンドームせんだい」や、2020年の国体の会場にもなる総合体育館がある。プロや社会人の野球選手が、日本全国、あるいは韓国や台湾から合宿に訪れる。数週間の滞在となれば、宿泊施設や飲食店など地元の経済も潤う。

「実は申し込みが多くて、お断りすることも増えています。野球場をもう一つつくるよう、議会でも提案しています」

小学校から高校まで野球一筋だった松澤氏。現在も自治会のソフトボール大会に出場することもあり、スポーツへの関心は人一倍強い。

また、松澤氏が地元の自治会長からの要望を受け、スポーツ施設近くのため池の周囲をウォーキングやランニング用に整備するよう市議会で提案したところ、市も前向きに取り組み始めた。

「地域でもスポーツを推進しています。高齢化も進む中、市民の健康づくりに役立てたい」

時には、厳しい意見にも向き合わなければならない。松澤氏の後援会長を務める市内の工務店「旭住宅」会長の寺迫昭博氏は語気を強める。

「遊休土地を有効活用しようにも規制が多い。途中までOKでも、最後に許可が下りないこともある。これでは民間の仕事が進みません。規制緩和と行政のスピード化をお願いしたい」

「これはいただいた宿題」と語る松澤氏。新しいものをつくるだけでなく、ムダなものを見直すことも期待されている。

一歩先の議論を進める

ここ数年、市を揺るがしていたのは、11年の東日本大震災後の定期点検で停止した九州電力川内原発の再稼働の問題だ。

松澤氏は市議になる前から幸福実現党の政策として再稼働を訴え、15年には県知事と薩摩川内市長宛に要望書を提出。16年に再稼働が実現した。

「日本のエネルギー自給率は6%と低い。周辺で紛争などが起きて石油が入らなくなったら、生活できなくなります。安定的なエネルギーの供給のためには原発が必要です」

25年には廃炉目安とされる稼働40年を迎える。松澤氏は「原発稼働の延長や新設も検討すべきでは」と訴える。

原発稼働に伴うのが、核廃棄物の処分だ。7月に政府が発表した最終処分地として科学的に適した地域に薩摩川内市も入った。それに先駆けて松澤氏は6月、地層処分技術の研究を進める北海道の幌延深地層研究センターを視察していた。

「まだ施設建設は未定ですし、決定するのは政府や電力会社です。ただ、原発の稼働延長や新設などにも、地元自治体の合意が必要です。市政は政府の動きに受け身になりがちですが、今後起こるだろう問題について事前に議論を始めておけば判断も早くなります。市議として責任を果たし、市民のお役に立つために勉強を重ねる毎日です」

薩摩川内市の未来を開くために、今日も市内を走り回る。

松澤市議の活動 PICK UP

これまでに、北朝鮮のミサイル発射を受け、「弾道ミサイルの落下に備えた避難訓練の提案」のほか、「農業のIT化」「待機児童の問題」「市内のWi-Fi環境の整備」などを取り上げてきた。

農業用のため池として整備された「中郷池」。スポーツ施設の利用者がランニングに使えるコースとして、また地域の憩いの場としての活用を、議会で提案している。

市議に当選する前の2015年9月、薩摩川内市長宛に川内原発2号機の再稼働を求める要望書を提出した時の様子。市議になった今も、議会で真正面から原発問題を取り上げる。