《本記事のポイント》

  • 東京に核が落ちたら死者42万人
  • スカスカのPAC3配備 「二段構え」のミサイル防衛はうそ!?
  • 対策立たぬ自治体「難民はとりあえず洋上待機……」

2017年6月号記事

ニュースのミカタ 2

政治

北朝鮮からの1発の核攻撃で、日本の被害はどうなるのか。経済産業研究所研究員などを務めたマイケル・ユー著『ウォー・シミュレイション 北朝鮮が暴発する日』(新潮社)には、恐ろしい試算が示されています(核兵器の威力は12キロトン級を想定。広島型は15キロトン級)。

東京に核が落ちたら死者42万人

爆心地が東京・国会議事堂の上空の場合は、死者約42万人、被害者約81万人。大阪・梅田なら、死者約48万人、被害者約88万人に上るといいます。

同書には、「2.5キロ以内に存在する人の90%以上は、カメラのフラッシュのような閃光を見た瞬間に消える」とあり、東京タワーは折れ曲がった無残な姿になると予想されます。

テレビなどの情報通信網は破壊され、全国への情報量は著しく減少。大勢の被爆者も出て、病院に搬送されても十分な処置を受けられません。地下鉄に退避した数十万人が孤立し、救出は困難となります。

こうした混乱ぶりは、これまで経験してきた大震災の被害とは比較にならないものです。

スカスカのPAC3配備
「二段構え」のミサイル防衛はうそ!?

日本のパトリオットは34基だが、アメリカは沖縄県嘉手納基地だけで24基配備している。防衛能力の差は歴然だ。写真:AP/アフロ

「自衛隊がいるから大丈夫」と言いたいところですが、日本の「楯」は心もとない状況です。

ミサイル防衛は、まず、海上自衛隊のイージス艦に搭載するミサイルで迎撃し、次に、打ち漏らしたミサイルを航空自衛隊のパトリオットミサイルで仕留めるという二段構え。現在はイージス艦6隻に加え、パトリオットが16基地に34基配備されていると見られます。

ですが、 守りの要であるパトリオットの配備を見ると、日本全国をカバーしていません(下図)。驚きなのは、886万人がいる大阪を守っていない点です。

日本は火の海になる!?

パトリオットでは日本を守れない

また、配備されている東京についても、射程範囲は山手線内より狭く、元自衛隊幹部は、同時に複数のミサイルを撃たれた場合、「果たして、皇居まで守れるのか」と実情を語るなど、首都の防衛すらままなりません。

日本は、神奈川県の横須賀基地などに駐屯するアメリカ海軍に、ミサイルの迎撃要請を行う選択肢もありますが、独自で防衛する力はありません。 日本のミサイル防衛は穴だらけ。日本には「ここは完全に守れる」という場所はありません。

対策立たぬ自治体「難民はとりあえず洋上待機……」

朝鮮半島有事のリスクは大都市だけにとどまりません。地方都市で懸念すべきは、北朝鮮から難民が殺到してくることです。

韓国の専門家は、有事に200~400万人の北朝鮮難民が発生すると見ており、 日本にも、10万~15万人の難民が長崎県、福岡県、山口県などに押し寄せると想定されています。

朝鮮半島の緊張状態に対し、菅義偉官房長官は4月中旬の記者会見で、「いかなる事態にも対応できるよう万全の対応をとっている」と胸を張りました。

ですが、本誌が、真っ先に難民がやってくる長崎県対馬市に対策の現状を聞くと、「何万人も対応することは不可能」と回答。同市は、ひとまず難民を海上に待機させるとのことですが、上陸された時の対応を問うと、「想定していない」といいます。

難民流入が止められなければ、戦禍から逃れる韓国人の流入や北朝鮮スパイの侵入、難民の暴徒化、感染症の発生など、リスクが大きくなる一方です。

自治体の不十分な対策を考えると、政府高官の発言は楽観的すぎます。自治体は早期に、自衛隊と共同で、不審船や難民検査などの訓練を行い、入国管理の人員を増やす必要があります。また、他県の警察や自衛隊の応援を呼べる体制を整えるべきです。

核攻撃の被害を減らす方法

では、肝心の核攻撃の被害を減らすにはどうすればいいのか。主な対策は次のものがあります。

  • (1) 主な公共施設やイベント会場に「核シェルター」を設置する。

  • (2) 核爆発で発生する、電子機器を破壊する電磁波に耐える通信網を構築し、正確な情報を全国に発信できるようにする。

  • (3) 核・ミサイル攻撃を想定した避難訓練を行い、注意を喚起。

  • (4) 鉄道の運営権を自衛隊に委譲し、駅に退避した乗客を郊外に避難させられる体制をつくる。

  • (5) 病院に放射能防護施設を併設し、治療体制を整える。

日本は世界で唯一の被爆国でありながら、核攻撃に対してはまったく準備ができていません。早急に対処すべきでしょう。

高まる核装備の必要性

北朝鮮の軍事パレード。同国は、着実に核・ミサイル技術を向上させている。写真:ロイター/アフロ

そもそも、国民の命を守るためには、北朝鮮に攻撃させない体制をつくることが大事です。

まずは、敵基地を遠距離から破壊する「巡航ミサイル」をすぐにでも導入することです。

戦争平和社会学者の北村淳氏は、アメリカから約1000億円で800発を調達すれば、北朝鮮・中国への抑止力になると主張。それを敵に探知されづらい潜水艦から発射できるようにすれば、さらに北朝鮮をけん制できます。

またアメリカが自国への核攻撃を恐れて、日本を守らない可能性も考えられます。その時、敵に攻撃を思いとどまらせるのは、「目には目を歯には歯を」ということわざのように、核兵器の保有なのです。

アメリカと核兵器を共有することも一つの手段です。これによって、核兵器を持つのと同等の抑止力が得られます。

ただ、他国に生殺与奪の権を握られている状況に変わりはないので、将来的には、日本も独自の核兵器を持つべきです。

再び日本を戦場にさせないためにも、政府は単独で北朝鮮に対応できる力を持つべき時に来ています。

【関連書籍】

危機の中の北朝鮮 金正恩の守護霊霊言

幸福の科学出版 『危機の中の北朝鮮 金正恩の守護霊霊言』 大川隆法著

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