2017年6月号記事
第57回
釈量子の志士奮迅
幸福実現党党首
釈量子
(しゃく・りょうこ)1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒。大手企業勤務を経て、(宗)幸福の科学に入局。本誌編集部、常務理事などを歴任。2013年7月から幸福実現党党首。
釈量子のブログはこちらでご覧になれます。
「トランプ流」に、ついて行く覚悟
日本は"もう"逃げられない
「こんな状況で、2020年に東京オリンピックをやるのか」
トランプ米大統領は、北朝鮮がミサイルを度々発射するのを見て、周囲にこう漏らしたと言われています(*)。
そんなトランプ氏が、アジアの"爆弾処理班"を買って出ました。米中首脳会談で、習近平・中国国家主席に「北朝鮮の核開発を止めさせてくれ」と迫りました。同時に、シリアの軍事基地に、59発のトマホークミサイルで砲撃。「中国が動かなければ、アメリカが動く」というメッセージも含まれています。さらに、数日後には原子力空母カール・ビンソンを、朝鮮半島周辺に送り込み、覚悟の強さを示しました。
トランプ氏は「もう先延ばしは許さない。核を捨てるか、国を捨てるか、どちらか選べ」と、金正恩氏に「決断」を迫っています。
(*)4月12日付日経新聞
原子力空母「カール・ビンソン」。提供:US NAVY/ZUMA Press/アフロ
日米は軍事的に「二人三脚」
しかし、「決断」を迫られているのは、北朝鮮や中国だけではありません。
アメリカが軍事行動を起こせば、日本は後方支援を求められます。そうなれば当然、反撃の対象にもなるでしょう。日本とアメリカは、いい意味でも、悪い意味でも、「二人三脚」です。
実は、かつて日本は北の核廃絶に動こうとしたアメリカの足を引っ張ったことがあります。
北朝鮮が最初に核開発の意志を示した1993年の「第一次朝鮮核危機」の際、アメリカは核施設が密集している寧辺の爆撃を検討しました。そこで日本に、兵器・弾薬の提供、米艦船の防御、民間の空港・港湾の利用などの支援を要請しました。
しかし日本は、「憲法9条」「集団的自衛権を行使できないこと」を理由に、それを断ったのです。結果として、アメリカは方針転換せざるを得なくなりました。
あの時、日本が腹をくくっていれば、今頃、北の核の脅威はなかったかもしれません。
日本は前例のない決断を下し続けるトランプ氏に、パートナーとしてついて行けるか、「決断」を迫られています。
北朝鮮の次は中国
トランプ氏は、北朝鮮の核廃絶だけで、アジアの問題を終わらせる気はないでしょう。
「アメリカ・ファースト」という理念は、「中国の覇権を終わらせる」ことも意味します。貿易政策では輸出頼みの中国経済を弱らせ、閣僚も対中強硬派で固めています。
数年内に、アジアのどこかで、何らかの軍事衝突が起きる可能性は十分にあり得る。
その時、もし日本がアメリカの後方支援をすれば、今以上のリスクにさらされます。
しかし、中国の拡張をどこかで終わらせなければ、日本が飲み込まれるのも、時間の問題となります。
日本は、長らく目を背けてきた「究極の選択」を、いよいよ迫られているのです。
決断の奥には「神」がいる
私は、「究極の選択」を行うには「神仏の心を慮ること」が必要だと考えています。
シリア攻撃に際して、トランプ氏は声明でこう述べています。
「あまりに大勢への、緩やかで残忍な死を招いた。(中略)神の子は誰一人としてそのような恐怖に遭ってはならない。(中略)我々は神の英知を求めている」
リンカン大統領も、じゅうたんに爪を立て、涙を流しながら神に祈り、「南北戦争が正しいかどうか」を問うていたといいます。
政治は、その判断が多くの命を左右するがゆえに、「神仏の心を映す鏡」であるべきなのです。
私は、北朝鮮から亡命してきた人や、中国の弾圧を受けてきたウイグル人とお会いしたことがあります。同じ地球上に生まれたとは思えないような悲惨な人生に、涙を禁じえませんでした。こうした悲劇がアジアに広がることを、神仏はお許しにならないでしょう。
もう、腹をくくろうではありませんか。日本は、トランプ氏のアジア改革を乗り切るため、防衛予算を増額する必要があります。また、もし9条改正が間に合わず、行動を縛られるのであるならば、中国・北朝鮮は前文にある「平和を愛する諸国民」ではないとして、9条の適用対象外にするべきです。
私たち幸福実現党は、この4月で立党8年目を迎えました。2009年以来、一貫して、北朝鮮や中国への防衛力強化を訴えてきました。これからも、日本が正しい決断ができるよう、赤心、神に恥じぬ思いで訴えてまいります。