《本記事のポイント》
- 天皇皇后両陛下が残留日本兵の遺族と面会
- 残留日本兵は欧米の植民地からの独立を支援
- 先の大戦に大義があったことを知るきっかけに
ベトナムをご訪問中の天皇皇后両陛下は、先の大戦後に、同国にとどまり対仏独立戦争に参加した残留日本兵の家族と面会された。両陛下は5日、6日間の訪問日程を終え、タイに弔問のため立ち寄られてから帰国される。
天皇陛下は残留日本兵の家族との面会の際、真っ先に、集まった15人の家族の中で最高齢のグエン・ティ・スアンさん(93)に声をかけられ、皇后さまは、涙を流しながら感謝するグエンさんの体を、膝を折って抱き寄せられた。
父親が残留日本兵だったホン・ニャット・クアンさん(66)は、陛下との面会後、「父がいなかった痛みや苦しみが消えた。私たち夫婦も日本との懸け橋として頑張りたい」と感動を語っている(3日付産経新聞)。
また、同じく父親が残留日本兵のゴー・ザ・カインさん(72)が、「感動して、何を言っていいのかよく分かりません。われわれは常に日本のことを考えています」(同)と話すと、それに対して陛下は「大変心強いです」とお答えになられた。
両陛下は家族一人ひとりに丁寧に向き合われ、面会時間は予定の倍以上の34分にわたった。家族の話を聞かれた陛下は、「平和というものが本当に大事だと思います」と何度も繰り返されたという。
知られざる日本兵の功績
そもそも、「残留日本兵」とは何か。歴史の授業ではあまり教えられてはいないが、日本が先の大戦に敗戦した後に、現地人が欧米の植民地支配から独立するため、ともに戦った日本兵のことを指す。
ベトナムに関して言えば、当時フランスが植民地支配をしていた仏印(現在のベトナム、ラオス、カンボジア)に、日本軍が1940年に進駐した。しかし、日本の敗戦にともない、フランスが再植民地化を図った。これに対し、日本兵約600人が、現地の人々とともに対仏独立戦争に参加したとされる。
この他にも、インドネシアのオランダからの独立戦争や、対英独立戦争であるインドのインパール作戦などでも、日本兵が現地人の独立のために命を懸けた。残留日本兵は現地人の訓練や作戦の指導などを行い、また自らも命をかけて戦ったのだ。
戦う理由は様々だったが、「欧米列強の植民地支配からの解放」という大義を抱き、現地に残った日本兵が多かったと言われている。今回のご訪問とご面会は、植民地解放のために戦った偉大な先人がいたことを国民一人ひとりが思い起こす契機としたい。
(片岡眞有子)
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