《本記事のポイント》
- 日本の企業が先行してフロンを使わない取り組みを始めた
- オバマ氏は温暖化対策を推進、一方のトランプ氏は否定的
- 地球温暖化対策に振り回されないようにすべき
日本企業が、地球温暖化対策としてフロンを使わない取り組みを始める。このほど、日本経済新聞が報じた。フロンとは、オゾン層を破壊し、地球温暖化に影響を与えると言われている人工物質だ。
ローソンは、フロン未使用の冷蔵冷凍庫を使う店舗を、2017年度までに2700店に倍増する。この投資額は100億円にも上るとみられている。また、味の素冷凍食品は、国内全工場の冷凍設備をノンフロンに切り替えるという。
オバマ氏とトランプ氏の温暖化に関する主張は正反対
こうした環境対策を進めるのは日本だけではない。
アメリカでは、現大統領のオバマ氏が様々な地球温暖化対策に取り組んできた。第1期政権時には、地球温暖化対策などへの公共投資を経済成長につなげるという「グリーン・ニューディール政策」を掲げた。また、国内の温室効果ガス排出量の削減や、地球温暖化対策の新たな枠組みである「パリ協定」の発効なども進めてきた。
オバマ氏は大統領退任を控えた9日、地球温暖化対策の必要性を訴える論文を米科学誌「サイエンス」に寄稿した。論文では、アメリカ国内のエネルギー分野のCO2排出量が2008年以降9.5%減ったのに対し、経済成長率は10%を超えていることから、温暖化対策と経済成長が両立していることなどを挙げた。つまり、温暖化対策が経済成長に悪影響を及ぼすことはないという主張だ。
これは、温暖化対策に否定的な次期大統領のトランプ氏へのけん制ともみられている。
一方のトランプ氏は、大統領選を通して、「温暖化はでっち上げだ」「米国の製造業の競争力を削ぐ」などと主張しており、温暖化対策に対しては懐疑的な態度を取っている。
人事でも、エネルギー長官には温暖化対策に反対してきた人物を起用すると発表した。また、アメリカは「パリ協定」において、温室効果ガスの排出量を2005年比で26~28%削減する目標を出しているが、トランプ氏は米FOXテレビの番組で「米国が競争上、不利になるのは望まない」と発言。脱退を明言してはいないものの、経済上の利益を重視して判断する考えを示している。
トランプ氏は、温暖化対策により経済活動が萎縮し、経済成長に影響することを危惧しているのだろう。
経済発展に目を向けるべき
そもそも、「地球温暖化」は仮説の1つにすぎない。むしろ寒冷化するのではないかという説まで出ており、必ずしも早急に対応すべき問題ではない。温暖化対策に力を入れすぎると、お金や時間の無駄になる可能性がある。経済発展の方向に、お金も時間も投資するというのは妥当な判断だろう。
トランプ氏が大統領になると、環境対策に関しても大きく流れが変わることが予想される。各企業を温暖化対策で振り回すことのないよう、日本政府もその実効性を見通す必要があるだろう。(慈)
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