徳田 芳和

プロフィール

(とくだ・よしかず)1953年香川県生まれ。地元工業高校を卒業後、マンションデベロッパーや工務店勤務を経て、96年にリフォーム業で起業。飛び込み営業のみで2年目に年商1億円を達成する。創業3年目以降は注文住宅建築、分譲住宅販売に進出し、創業10年目で売上高10億円、19期目の決算においては売上高22億円を達成した。

42歳で起業し、飛び込み営業から年商22億円の会社に育てた明徳ホーム代表取締役社長の徳田芳和氏。『積極的感謝の力』著者でもある徳田氏に、感謝とビジネスの成功について話を聞きました。全3回でお届けします。第1回目の今回は、「積極的感謝」に気づく前と後の変化について。

積極的感謝ですべてが自分の味方になっていく

――「積極的感謝」という言葉を使っていますが、いわゆる普通の感謝とはどう違うのでしょうか?

徳田 芳和氏(以下、徳田): 普通の感謝は、何かしてくれたら「ありがとう」というものですよね。自分が今存在していることや、与えられていることに関しては、みんな当然と思っているのが普通です。そうではなくて、自分が存在することや、与えられている環境が当たり前ではないと気づいていくことが積極的感謝なんです。

これは普通の感謝とは全然違うんです。今与えられていることに感謝していくと、すべてが自分の味方になっていくんですよ。

この積極的感謝の力はとても大きいです。たとえ人に愛を与えられる立派な人になろうと思っても、その前にはこの積極的感謝が必要です。感謝は「愛の卵」のようなものです。自分がいかに恵まれているかに気づいたら、それが人に対する愛になるし、立派な行為につながっていくんです。

天から「何しとんや!」と叱られた感覚

積極的感謝の力

積極的感謝の力

徳田 芳和著

現代書林

――ご著書には、独立した後に積極的感謝の大切さに気づいたと書かれていました。その前は感謝についてどう考えていたのですか?

徳田: 全然ゼロです(笑)。でも、お客様の求めているものを察したり、コミュニケーションをとって信頼を得たりということは得意でしたから、会社勤めで営業をやっていたときはトップの成績を出していました。ところが、独立して飛び込み営業を始めたら、まったく契約が取れない。ものすごい大変な思いをしましたが、それがあったから感謝の本当の意味を知ることができました。

――著書には、『典子は、今』(※)という両腕がない状態で生まれた実在の人物を描いた映画を観て、感謝の大切さに気づいたと書かれていました。

徳田: すごいなと思いましたよ。五体満足というのは、普通の人は当たり前で、意識もしていないことじゃないですか。私だって手に感謝したことなんて一回もなかったですから。ところが映画の典子さんは、手がないから、足でいろんなことをするんですよ。私はこの人ほどは努力してないなと思ってね。

それで発奮したんです。「俺はこんなに多くいろんなもん与えられとるのに、何をうじうじナメクジみたいに考えとるか」って思ってね。そこから発奮して挽回したから今があります。あれは偶然ではなしに、天が私に観せたと今では思っています。

――印象的だった映画のシーンは?

徳田: 典子さんが一人で脳性麻痺の友達のところへ行くシーンがあるんですが、汽車に自分で乗って、苦労して行くんですよ。やっぱり人生は修行だなというふうに思ったし、ちょっと言葉で言い表せないんですが、「乗り越えていけ、乗り越えていけ。脱皮していけ、脱皮していけ」っていう無言の声が聞こえた気がした。今苦労しているのは、魂の糧になるぞということを、暗黙のうちに教えられた気がするんです。

感動というよりは、「目覚めた」という感覚に近かったです。座禅しているときに、パチン!と叩かれる、あんな感じですよ。「何をしとんや!お前はこんなんでええんか!」と天から叱られた感じでした。

お客様が自分とはなしてくれるだけでありがたい

――映画を観て、自分が当たり前だと思っていたことがそうではなかったことに気づいた後、飛び込み営業での成約が取れるようになってきたと著書に書かれていました。この、積極的感謝に気づく前と後で、ご自分がどんなふうに変わったと思いますか?

徳田: 自分の心が変わると、世界が変わるんですよ。私は実体験でわかりました。

いろいろなことがありがたいと思ってね。お客様が自分と話をしてくれるだけでもありがたいと思ったら、地獄から天国へと入ったような感じになるんです。これは体験した人にしかわからないかもしれませんが、対応する人自体が変わっていくんですよ。

――対応する人というのはお客様ですか?

徳田: そうです。自分の考え方が変わると、いい人が出てきて、いろいろ話を聞いてくれたりするんですよ。出会う人が変わってくんです。不思議なんですよね。前までは、ピンポーンとインターホーンを押して、こちらが名乗ると、もう全員に断られる。これを何百件とやられると、うつ病になるんですよ、本当に。

それが、ただ話してくれるだけでもありがたいなぁという気持ちになったとたん、相手が変わってくる。話を聞いてくれるようになるんです。そして、何か困ったことがあったら言ってくれるようになって、契約がとれるようになっていったわけです。その後はもうとんとん拍子でした。

(続く)

(※)1981年制作。松山善三監督。実在のサリドマイド病患者である白井のり子さん(当時は辻典子)の生涯を描いた映画。白井さんが本人役で出演したドキュメンタリー的な作品で、身体障害者の社会参加を力強く訴えた作品として注目された。

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