2016年4月号記事

「お金が貯まる生活」入門

夫婦で考える未来設計

古い付き合いのアラフォーのT先輩。

2人の子宝に恵まれ、仕事も家庭も充実しています。

でも最近、「お金の貯め方がよく分からない」とつぶやいていました。

この企画は、そんなT先輩に贈ります。

(編集部 冨野勝寛)

Interview

ファイナンシャルプランナー

ゆりもとひろみ

大阪府生まれ。出産を機にファイナンシャルプランナーを志す。これまで、一男一女の子育てをしながら、開業以来1千件以上のお金の相談を受けている。著書に『図解 正しい家計術(お金のきほん)』(学研プラス)など。

小学校に入る前のお子様をお持ちのご家庭は、教育費に関する不安を抱えている方が大半です。

一般的にお子様が1人増えると、月々の生活費は1万円以上増えます。ただ、希望の進学をさせるためには、何年後にいくらの教育費がかかるのか、かなり正確に計算できます。早めに対策を打つほど、軽い負担で将来の必要資金を準備できます。特に共働き家庭の場合、奥様が産休に入ると、必然的にお金の使い方を見直さなければいけません。

教育費を貯める方法として、私は貯蓄型の保険や学資保険などで、お給料から天引きすることをお勧めしています。手元の通帳から強制的にお金を「見えなくする」仕組みをつくると、はじめから無いものとして、残ったお金で生活するようになり、「今月は全額使ってしまった」ということがなくなります。

家計状況の把握も忘れてはいけません。お金に関する不安の多くは、「管理していないので、今家計がどういう状況にあるか分からない」というものです。お医者さんと同じで、私たちお金の専門家も、家計の現状が分からないと「処方箋」を出せません。

やはり、まずは家計簿をつけるのが効果的です。挫折経験を持つ人もいると思いますが、家計管理とお金のやりくりをいっぺんにしなくてよいのです。数カ月、家計簿をつけ、何にどのくらい使ったか、支出の傾向を確認できれば、目的は果たせます。大事なのは家計と向き合うことです。

お子様の教育費捻出に負担感やプレッシャーを感じている親御さんもいます。でも、忘れないでいただきたいのは、教育は、「最高の投資」ということです。皆様のお子様がこれからの未来社会を創っていくのですから。親御さん自身の投資にも当てはまりますが、是非、ご家庭や社会、世界の幸福や発展につながるような、お金の貯め方、使い方を工夫していただきたいと思います。

Step 1

必ずやってくる未来を知る

子供の進学など、近い将来、必ず訪れる出費を表にして視覚化します。

意外と漠然としているはず。まずは、10年程度からチャレンジしましょう!

※長男・長女とも幼稚園と小学校は公立、中学校は私立に進学させる場合を想定。表の年間教育費は、給食費や学外活動費(塾、習い事など)を含む。

文部科学省「2014年度子供の学習費調査」を参考に、編集部で作成。

Step 2

収入の一部を「使えなくする」

将来、必要になるお金や実現したい夢のために、毎月、一定額を天引きしてコツコツお金を貯めていきましょう。

図は、日本初の林学博士・本多静六氏が提唱した「4分の1天引き法」。

月給の4分の1とボーナスなどの臨時収入の全額を貯金に回し、その余りで生活していくという方法です。本多氏は、当初、切り詰めた生活を続けましたが、まとまった資金ができると、運用に回し、巨富を築きました。

Step 3

出費をメモしてお金のルールをつくる

まず1カ月間の出費を記録して、お金の使い方のクセをつかみます。

その上で、投資、消費、浪費に分類して優先順位をつければ、メリハリのあるお金の使い方ができます。

石油王・ロックフェラーも、初めて仕事に就いた16歳の時から、生涯にわたり家計簿をつけ続けました。

「ぜいたくしていないのに、お金が……」と首をかしげている人も多いでしょう。

取材して分かりましたが、独身時代や子供がいない頃と同じ金銭感覚では、お金は貯まらないようです。どこかの時点で、使い方、貯め方のルールを夫婦で共有する必要がありそうです。

そこでヒントにしていただきたいのが、Step1~3です。実践すれば、お金への不安感が薄れていくはずです。

「宝くじで一発逆転!」は"夢"としておきましょう。前述した本多静六博士やロックフェラーなど大富豪たちも、皆コツコツ貯めるところから始めています。

社会の役に立つ良い仕事をし、収入そのものも増やしたいですね。教養を高めることも含め、最も大切なものに"投資"し続ける姿勢も大事です。

明るい未来を引き寄せるためにも、T先輩、ぜひ参考にしてください。