日米中韓の高校生を対象に行ったアンケート調査で、日本の高校生が他の3国に比べて著しく自己イメージが低いことが分かった。29日付各紙が報じた。
この調査は、国立青少年教育振興機構が、各国で1500~2500人を対象に、生活や意識についてアンケートを取ったもの。日本の高校生は「自分はダメな人間だと思うことがある」という問いに対して、「とてもそう思う」「まあそう思う」が合計で72.5%と、4ヵ国の中でトップだった。同項目に対し、アメリカは45.1%、中国は56.4%、韓国は35.2%だった。
人生の可能性にあふれたこの時期に自己イメージが低ければ、何かをする前から「できない」と思ってしまい、挑戦しようという意欲がわきにくい。本人にとっても日本にとっても、好ましいことではない。
これまでの調査でも、同様の傾向が見られており、日本の若者の自己イメージの低さは、自虐的な歴史教育に原因があるとよく言われている。藤岡信勝氏や小林よしのり氏らが立ち上げた「新しい歴史教科書をつくる会」などの運動も、そうした視点に基づくもの。今回の調査で、日本より自己イメージが高かった3カ国が「戦勝国」としての歴史教育を行っていることも偶然とは言い切れない。
一方、日本と同じ敗戦国であるドイツの若者の自己イメージは、決して低くはない。2013年に13~29歳を対象に行われたアンケート調査では、「自分自身に満足している」と考えている人は80.9%いた。日本の45.8%と比べてはるかに高い。なぜこうした違いが出るのか。ドイツの場合は、ホロコーストなどに責任を負うのはあくまでもナチスであって、現在の自分たちとは切り離された存在として捉えられていると言われる。
こうした歴史観の差は、憲法にも表れている。
ドイツの憲法前文には、「神と人間に対するみずからの弁明責任を自覚し、統合されたヨーロッパの中で平等の権利を有する一員として、世界平和に貢献しようとする決意に満ちて、ドイツ国民は、その憲法制定権力により、この基本法を制定した」とある。兵役は義務となっており、軍隊の保持は当然の前提としている。
日本の憲法9条には、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」とある。憲法前文にある「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と併せれば、その裏には「侵略を行うような国は世界に日本しかない」というメッセージが浮かぶ。
現実の日本が、「平和を愛する諸国民」に囲まれていないという事実があったとしても、憲法の中では、日本だけが悪い国として書かれている。こうしたものを学んで、自己イメージを高められるだろうか。
子供達の自己イメージを高め、彼らの可能性を広げるためには、歴史観を考え直すべきだ。(居)
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