米ニューヨークの国連本部で23日(現地時間)、戦後70年と国連創設70年に合わせた、国連安全保障理事会の公開討論が行われた。今回の討論は中国が議長を務め、「国際平和と安全の維持」をテーマに約80カ国の代表が集った。24日付各紙が報じた。
日本をけん制する中国・韓国の代表
報道によると、中国・王毅外相は、「今年は反ファシスト戦争勝利から70年記念だ」と述べ、「歴史の事実は明らかだが、いまだに真実を認めたがらず、過去の侵略の犯罪をごまかそうとする者がいる」などと、名指しは避けたが明らかに日本を批判した。
また、王外相は、「国連憲章は過去と同じくらい重要な価値がある。我々は憲章の精神を尊重しなければならない」と述べ、戦勝国が主導権を握る国連制度が維持されるべきだと強調。韓国の呉俊・国連大使も、「歴史の教訓を無視しようとする試みは、国連憲章の価値に対する挑戦となり得る」と発言した。
これに対し、日本の吉川元偉・国連大使は「日本は戦後、第二次世界大戦の深い反省に立ち、平和国家としての道を歩んできた」と反論した。
中国は現在行っている弾圧・虐殺を反省すべき
中国、韓国代表の発言は、今夏に戦後70年談話をまとめる安倍政権をけん制する狙いがあるだろう。しかし、日本は戦後、国連に巨額の分担金を拠出し、世界の平和と繁栄に貢献してきたことは紛れもない事実である。これに対して、中国と韓国はどうだったか。
中国は第二次世界大戦後、インドや旧ソ連、ベトナムなど周辺国と紛争を繰り返してきた。近年も、フィリピンのスプラトリー(南沙)諸島、ベトナムのパラセル(西沙)諸島、日本の尖閣諸島などで領有を主張し、軍事施設をつくったり、漁船を差し向けるなどして、周辺地域への侵略の準備を進めている。
国内でも、文化大革命や天安門事件などで数えきれないほどの自国民を虐殺し、現在ただいまも自治区にしたチベットやウイグルで少数民族を弾圧・虐殺し続けている。
中国が主張する「南京大虐殺」や、韓国が主張する「慰安婦の強制連行」は、戦後のつくり話であることは本欄でも伝えてきた。軍事大国化して周辺国を脅かす中国と、ねつ造の歴史を世界に広める韓国が、自分たちの言動を棚に上げ、日本が「残虐な国家」だったかのような印象を、国連の場で訴えることは看過できない。
特に中国は、70年前の日本を断罪する前に、現在、自国がやっていることを見つめ、反省すべきである。
国連憲章の敵国条項は、日本侵略を可能にする
また、気をつけたいのは、今回の討論で中国・韓国が言及した「国連憲章」だ。この中には「敵国条項」というものがある。これは、第二次大戦中に「連合国の敵」だった日本やドイツなどの枢軸国が、戦後に侵略的な行動などをとった場合、国連加盟国は、安保理の議決なしで独自に軍事制裁を加えることができるという差別的な条項だ。
つまり、今後、日本が尖閣諸島に自衛隊を置いたり、憲法9条を改正するなどした際に、中国が「日本は侵略の兆しを見せた」などと理由をつけて、軍事制裁を加えることもできるわけだ。
中国は、今回の討論を戦後70年行事の「序幕」と位置づけ、今後、国際的な反日プロパガンダを本格的に始動させる模様。韓国も国内外で、従軍慰安婦の既成事実化を進めている。
国際社会における言論戦で負けないためにも、日本は戦後70年の首相談話で、自虐史観の元凶である河野・村山談話を撤回し、正しい歴史観を示し、その事実を国際社会に広めていかなければいけない。(真)
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