習近平・中国国家主席がこのほど、オバマ米大統領と電話会談を行い、9月にアメリカを公式訪問し、国連創設70年の記念行事に出席することを承諾した。

電話会談では、経済や軍事などの分野で協力を深め、「米中関係を大きく前進させていく」ことで一致。一方、習氏は「互いの核心的利益に配慮すべきだ」と述べ、台湾やチベット問題などに干渉しないようけん制した。

中国では、9月18日を「満州事変の日」に制定しており、大規模な記念行事を予定。習氏はその直後に訪米するのではないかと見られている。

また、中国は2015年を「抗日戦争勝利・ファシズム戦争勝利70周年」と位置付けている。9月3日の「抗日戦争勝利記念日」に合わせて、ロシアのプーチン大統領などを招き、異例の軍事パレードを行う予定だ。

アメリカが日本の味方をしてくれるとは限らない

一方、日米両政府は、5月に予定している安倍晋三首相とオバマ大統領の日米首脳会談の際に、共同文書を発表する方向で話を進めている。文書では、これまでの日米両国の世界の平和と安定への貢献や、さらなる同盟の強化を示すことを検討。今年上半期に見直す日米防衛協力のための指針(ガイドライン)についても触れる見通し。

こうした文書をめぐり、日本政府はアメリカをしっかりとつかまえることで、歴史問題をめぐる中韓の動きをけん制したいところだ。しかし、日本が自虐的な歴史観のままであれば、中国との距離を縮めようとするアメリカの意向に沿うばかりで、かえって手足を縛られる恐れもある。

「河野・村山談話」の撤回は、憲法改正の試金石

歴史問題については、本欄でもさまざまに報じてきたが、これまでの習氏の言動からは、戦後70年の節目に改めて第2次大戦の戦勝国で団結を深め、「対日包囲網」をつくり、歴史問題で日本をおとしめようという意図が見え見えだ。9月の訪米目的も、国連の記念行事への出席だが、国連をつくったのは戦勝国である。

このような状況の中で、安倍首相は今夏、新しい「首相談話」を出す予定だ。しかし、安倍首相は、念願の憲法改正を実現するには、歴史問題で諸外国を刺激するのは得策ではないと考えている節がある。だが、歴史問題で正しく主張できない政権が、憲法改正に否定的な国内の有権者やマスコミ、諸外国を説得することは不可能だろう。

やはり、安倍首相は万難を排して、慰安婦の強制連行や日本のアジア侵略などを事実上認めた「河野・村山談話」を撤回し、正しい歴史をベースにした首相談話を出さなければいけない。「河野・村山談話」の撤回は、憲法改正の試金石と見るべきだ。(真)

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