九州電力は、川内(せんだい)原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)の原子炉を11日に再稼働させた。東日本大震災後に定められた新しい規制基準のもとでは初の再開で、2013年9月から約2年間続いた「稼働原発ゼロ」の状態から抜け出した。

今回再稼働した川内原発1号機に加え、関西電力の高浜原発3、4号機(福井県高浜町)と、四国電力の伊方原発3号機(愛媛県伊方町)も新しい規制基準をクリアしているが、高浜原発については福井地裁が地元住民の反対を受けて運転停止の仮処分を決めたため、まだ再稼働のめどが立っていない。

原発ゼロの元凶・菅直人元首相も反対集会に登場

再稼働した川内原発のゲート前では、早朝から原発反対派が数百人集まり、集会が開かれた。東日本大震災発生時に政権を握っていた菅直人元首相も駆けつけ「再稼働に踏み切った安倍政権は亡国の政権だ」と、現政権を批判する演説を繰り返した。

だが、日本の全原発が稼働停止に至ったのは、菅直人元首相が中部電力・浜岡原発に対して稼働停止を「お願い」したことが発端であることを忘れてはならない。

法的根拠のない原発の稼働停止

首相の稼動停止の「お願い」には、何ら法的な根拠はない。だが、福島第一原発事故が起こり、原発反対の世論が高まっていた状況を鑑みれば、これは事実上の「命令」に等しい。原発を停止して損失を被るのは中部電力だが、中部電力は「お願い」を受けて、停止を受け入れた。このことについて、菅元首相は何の責任も取っていない。

原子炉の設置や運転は、法律によって決められている。「原子炉等規制法」に反して、稼動停止の処分を受けたり設置許可を取り消されたりした場合は、稼動を停止しなければならないが、現在、稼動停止している原発は、そのような処分を受けたわけではない。規制基準をクリアした原発が再稼動できない理由もあいまいだが、そもそも適法に動いていた原発を止めたことに問題があった。

菅直人首相は、これまた法的根拠のないストレステストを導入し、日本を混乱に陥れた。震災後、経済復興を急がなければならなかったのに、エネルギー価格を高騰させて復興の足を引っ張った。

日本のエネルギー政策の全体戦略を持たずに、専門家の意見も聞かず、「原発は危ない」という個人的な感情で原発の稼働を止めた菅元首相の責任は重い。安保法制をめぐる議論では立憲主義や法治主義が声高に叫ばれているが、原発の稼動停止こそ法治主義に反した独裁的な判断だと言えるだろう。

政治家には、「原発反対」という国民の感情論や"空気"に流されるのではなく、「最も多くの国民を幸福にする政策は何か」を突き詰めて考え、必要な政策については国民を説得することが求められる。国の経済のためにも、国民の生活のためにも、今回の川内原発の再稼働を皮切りとして、他の原発の再稼働がスムーズに進むことを願いたい。(真)

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