鹿児島県薩摩川内市議会は28日の臨時議会で、川内原発再稼働を容認する陳情を賛成多数で採択。これを受けて同市の岩切秀雄市長も同意を表明した。福島第一原発事故から3年経つが、地方自治体が原発再稼働に同意を示したのは、原発の新規制基準施行後初めて。鹿児島県議会は、11月5~7日に臨時議会を開き、再稼働の賛否を判断する。再稼働は年明け以降になる見通しだ。
岩切市長は同意表明後の記者会見で、「日本の産業振興には電力が必要だ。原発は重要な電源。守っていかなければ」と、原発の必要性を強調した(29日付読売新聞)。
原発停止に伴い、現在火力発電が主な電力供給源になっている。しかし燃料の輸入費がかさみ、毎日約100億円もの国費が海外に流出するなど、電力会社の収益を圧迫し続けているのが現状だ。九州電力の9月中間連結決算の最終損益は400億円に達し、前年同期の357億円と比べ、負担が増えている。
原子力規制委員会は9月に、安全対策が新規制基準を満たしているとして、川内原発に事実上の合格証にあたる「審査書」を与えた。その後、今回の薩摩川内市の同意にいたるまで、再稼働に向けた手続きが進んでいる現状を受け、鹿児島県内では原発再稼働反対派の強い反対運動があった。
先月28日に鹿児島市内で行われた再稼働反対の集会には、全国から7500人(主催者発表)が集合。繁華街でデモ行進を行った。今月20日には、薩摩川内市役所で川内原発対策調査特別委員会が開かれていたが、抽選で傍聴希望者から外れた反原発派の人が、委員会が行われている部屋の扉を叩き続けるなど、妨害したという(23日付産経ニュース)。
原子力規制委員会の安全審査期間が当初の予定よりも時間がかかるなど、再稼働への動きが遅いことは否めないが、今回の薩摩川内市と市長の判断は正しい。本欄でも再三にわたって述べてきたように、原発は安全で、エネルギー安全保障上重要だ。
福島第一原発事故は津波による電源喪失が原因であり、原子炉本体が地震で倒壊することはなかった。青森の女川原発にいたっては、震災時の避難先になった。
また現在、中国がスプラトリー諸島の埋め立てを進め、南シナ海における実効支配を強化する動きを見せている。もし、シーレーンを中国に押さえられれば、日本のエネルギー資源の補給ルートを遮断されてしまう。原子力を除く日本のエネルギー自給率がわずか4%という現状を考えても、日本にとって原発は重要な電力供給源である。
原発再稼働については、日本の国益、エネルギー事情などを考慮した冷静な議論が必要だ。川内原発の再稼働を皮切りに、他の原発の再稼働も迅速に進むように願いたい。(冨)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『アインシュタインの警告 反原発は正しいか』 大川隆法著
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