原子力規制委員会は10日、定例会見を開き、鹿児島県薩摩川内市にある九州電力川内原発の1、2号機に対して、安全対策が新規制基準を満たしているとして、安全審査の事実上の合格証にあたる「審査書」を正式に決定した。新規制基準を満たす原発は初めて。今後地元の了解を得るなどして、早ければ冬に再稼働される見通しだ。

しかし、今回の決定は遅すぎた。昨年7月九州電力は新規制基準の施行に伴い、原子力規制委員会に安全審査を申請。当初半年程度と言われていた審査期間は想定を大きく上回り、今回の決定までに1年2ヶ月かかった。その他審査を申請した原発は全国で13原発20基(11日時点)におよぶが、再稼働に向けて時間がかかっている。

再稼働の主な障害となっているのが、新規制基準で大幅に強化された地震や津波などの自然災害に対する安全対策だ。

自然災害に対してしかるべき対策は必要だが、福島第一原発事故の原因は津波による電源喪失で、原発建設時の計画通りに高台に建てておけば問題なかった。また原子炉本体が地震によって壊れることもなかった。

以上を考慮に入れると、原子力規制委員会の新規制基準は厳しすぎだ。特に活断層に関して、原子力規制委員会は新規制基準の概要で、「将来活動する可能性のある断層などは、後期更新世以降(約12~13万年前以降)の活動が否定できないものとし、必要な場合は、中期更新世以降(約40万年前以降)まで遡って活動性を評価することを要求」と記載。しかし活断層はどこにでもあり、数万年前に活断層が動いたからといって地震が起きるとは限らない。実際に1995年の阪神淡路大震災や、2004年の新潟県中越地震などは活動層がない場所で起こった。

原発再稼働の安全審査が滞っている間にも、火力発電に使用する燃料の輸入費などで、1日あたり約100億円の国費が海外に流出している。それに伴い、電気料金が値上げされ、経済的損失が拡大し続けている。エネルギー自給率が低い日本では、安価で安定した電力を提供できる原発は必要不可欠だ。

今回の審査書の正式決定で、川内原発は原発再稼働へ向け、大きなステップを踏み出したが、川内原発以外も一刻も早い再稼働が必要だ。(冨)

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