経済産業省は今冬の電力需要について、「アベノミクス」で景気が刺激されることで、原発2基分に相当する236万キロワットの電力が昨年度よりさらに必要になるとの試算をまとめた。30日付日本経済新聞(電子版)が報じている。
現在のところ、電力供給にはまだ余裕がある。政府によると、電力9社(原発を持たない沖縄電力を除く)の今冬の供給余力はいずれも安定供給に必要な3%以上になる見込みだ。ただ、これは火力発電所をフル稼働させることで可能になっている。そのため万一、火力発電所でのトラブルや、原油価格の高騰、中東からの石油の輸入が困難になる事態が発生すると、火力発電にも頼れなくなる可能性もある。
また2020年にオリンピックを控える中で、今後とも「アベノミクス」を旗印に経済成長を続けていけば、より多くの電力が必要になることは、論を待たない。
そこで、少量の原料で大量の電力を発電することができる原子力発電がやはり必要になる。しかし、国内にある原子力発電所は、定期検査のため、全て停止している。唯一、新潟の柏崎刈羽原発の6・7号機のみが、再稼働に向けて原子力規制委員会に安全審査を申請しており、安全性が確認されれば、政府は年明けにも再稼働を容認する方針だ。
原発の再稼働が難航している理由には、厳しい「再稼働の審査」が挙げられる。しかし、そもそも「再稼働の審査」に法的な根拠は存在せず、再稼働を禁止する省令や閣議決定もない。したがって、安全が確認された原発を再稼働させないのは、「原発は危ない」という“空気"に呑まれ、再稼働を決断できない政治家に責任があると言える。
この元凶は、2011年に法的根拠のないまま浜岡原発の停止を要請した、菅直人元首相にある。国内の既存の大部分の原発は、既に定期検査を終え、ストレステストにも合格しており、最後の使用前検査さえ行えば運転できる状態にある。法的にも、安全面でも問題がないのであれば、再稼働しない理由はない。
2020年の東京オリンピック開催も決定し、アメリカでアベノミクスをPRしてきた今、安倍首相には、日本の経済成長に対する本気度を、原発再稼働の決断で示してほしい。(飯)
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2012年4月16日付本欄 【そもそも解説】原発の再稼働問題はなぜ起きた?