《本記事のポイント》

  • 相次ぐ"保守アカ停止"
  • 投稿削除・アカウント凍結に遭ったという声を紹介
  • アメリカでは、SNSの"検閲"が政治問題に

最近、SNSやYouTubeなどの動画投稿サイトにおいて、保守的な投稿やアカウントが削除・凍結されるという声が相次いでいる。その背景として、リベラル層を中心に「他国を批判するような投稿を差別的表現などとして通報する」といった動きが広がっているという。

著名な保守言論人のアカウント凍結が有名だが、編集部のアンケートにも「いわれのない記事削除・凍結に遭った」という読者の声が集まった。以下、それを紹介する。

投稿削除・アカウント凍結に遭ったという声

ある50代男性は、フェイスブックに、いわゆる「従軍慰安婦」「南京大虐殺」の存在に疑問を呈する投稿や、安倍政権の政策に対して批判する投稿をしていたという。すると選挙の直前になる度に、まったく投稿できなくなったという。男性は「選挙3回目くらいには『また来たか!』という感じです。普段から監視されていて、狙い撃ちみたいに感じます」と戸惑う。

また、ある60代男性は「(SNSに)習近平氏や、中国の宗教事情などを強く批判したら、投稿が消されました」と答える。

別の60代男性は、「北の地下空間を破壊できる保証無くしての攻撃は、日本への報復攻撃になりかねない。簡単に、思わないことだ」といった投稿をした。つまり、北の軍事施設をすべて破壊できなければ、反撃されるリスクがあるという意味だ。しかしその後、警告の上、アカウント凍結となった。

男性が即座に抗議すると、「再審査の結果、この投稿はコミュニティ規定に違反していないと判断された」との連絡が入ったという。ごく一般的な政治分析であり、当然だろう。それにしても、最初の審査はいったい何だったのか。このレベルの凍結が、数多く行われているのだろうか。

ある30代男性は、「日本共産党の辻立ちが通行の邪魔になっていたので注意したところ、共産党の車で轢かれそうになった」「威嚇行為のつもりだったと思う」との旨をツイートした。すると、数時間後にそれらの投稿が削除されたという。何者かが、組織的に大量通報するなどしたのだろうか。

確認するが、これは中国版ツイッターの「微博(ウェイボ)」ではない。日本の話だ。今後、より大きな問題になっていく可能性は高い。

SNSの"検閲"はアメリカでは政治問題に

本欄でも指摘しているが、海を渡ったアメリカでは、SNSの"検閲"は、すでに大きな政治問題になっている。

米調査機関「ピュー・リサーチ・センター」によると、調査対象となったアメリカ国民の72%が、「ソーシャルメディアは、自らが好ましくないと判断した政治思想を意図的に検閲している」と答えている。

さらに、対象者の43%が「大手IT企業がリベラルの見解を支持している」と回答。一方、「大手IT企業が保守の見解を支持している」と答えた人は11%だった。

SNS内の偏向姿勢は、当事者も認めている。ツイッターのCEOを務めるジャック・ドーシー氏は6月、社員へのメモで「我々が左派に大きく偏っているのは明らかだ。我々は皆バイアスを有している」と述べている。

またトランプ氏も、「ツイッターは有力な共和党員の投稿に対して、『シャドーバン』をしている。よくないことだ。この差別的で違法な行為についてすぐに調べる!」とツイートするなど、しばしばSNSを批判している。「シャドーバン」とは、特定の投稿をタイムラインに表示しないなどして、意図的に他の人が発見できないようにする行為だ。

日本にしろ、アメリカにしろ、大手IT企業の"検閲"に違和感を持っている人が多いのは事実だ。各社は、投稿削除・アカウント凍結の処置に自信があるのなら、「どのような投稿に対して、具体的にどう判断を下したのか」について外部に公開する必要があるだろう。その上で、「適正な表現規制」であるか、「言論の自由の抑圧」であるかを議論すればよい。

(馬場光太郎)

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