アベノミクス後の「5本の矢」 - 編集長コラム

アベノミクス後の「5本の矢」 - 編集長コラム

 

2018年6月号記事

 

編集長コラム Monthly  Column

 

アベノミクス後の「5本の矢」

 

 安倍政権は森友・加計問題などで揺らいでいるが、アベノミクスも手詰まり感が強い。

 雇用が増えているものの、それは正社員の代わりにパート・アルバイトが増えているから。そのため実質賃金が減少し、国民が豊かさを実感できずにいる。

 前回の本コラムで、これまでに300万人以上の雇用を生み出し、国民の所得も増やすアメリカのトランプ大統領の「創造パワー」の秘密を探った。

 そのポイントは、「愛国心」に基づく移民・貿易政策の見直し、「自由とやる気」を取り戻す減税・規制緩和、「騎士道精神」に基づく社会保障、「未来への遺産」をのこすインフラ投資。

 今回はトランポノミクスを日本に応用し、「アベノミクス後」を検討しておきたい。

 

 

(1)「日本を愛する移民」政策

 日本は「移民を受け入れない」ことが建前だが、実際には「移民国家」へシフトしている。2016年の外国人労働者は120万人余り。「5年働いたら帰国してもらう」という「技能実習」制度の枠を中心に、安倍政権下で倍増した。

 ただ、この制度は日本側の都合で、外国人労働者を"機械の部品"のように取り替えるもので、海外からは「現代の奴隷制」と批判されている。

 トランプ氏の移民政策見直しは、「アメリカを愛する人に来てほしい」という「愛国心」が軸にある。日本も"部品"としてではなく、「日本を愛してくれる人」に来てもらい、日本社会を支える一員となってもらう移民政策に転換する時期にきている。

 日本は戦前、台湾と朝鮮で"日本人づくり"をした。歴史の古い朝鮮とは一つの国になりきれなかったが、台湾では「日本を愛する国民」が数多く生まれた。日本の移民政策の転換は戦前とは違う形での再チャレンジとなる。

 

 

(2)製造業の国内回帰でイノベーションをけん引

 日本もアメリカ同様、1980~90年代から「産業の空洞化」を経験した。製造業が人件費の安い国に躊躇なく出て行くグローバリズムの悪影響だ。

 このすう勢に抗ってトランプ氏は「工場を国内に回帰させる」と宣言。法人税減税をしたり、企業トップを半ば脅したりしながら、1年で製造業が国内に戻る動きを加速させた。

 例えば米アップル社は、アメリカに最先端の工場や教育機関を次々と建てると表明。それらはAIや自動運転など製造業の未来を左右するものだ。

 一方、日本の製造業の強みは精密部品や素材、それらを製造するためのロボットにある。日本も「高付加価値の製品は国内の工場でつくれるよう、あらゆる手を打ち、もっと雇用を生み出す」と大号令をかけたら、アメリカ以上に世界の製造業のイノベーションをけん引できるようになるだろう。

 

トランプ大統領は対北朝鮮では行き詰まっているが、経済政策では狙い通りの成果が上がっている。そこからアベノミクスの次の日本の経済政策が見えてくる。写真:AP/アフロ

 

 

(3)「尊徳精神」に基づく大減税と規制緩和

 トランプ政権と違い、日本では既存の政党から減税の提案がほとんど出てこない。むしろ、消費税や所得税、相続税などの増税ラッシュが続く。2019年10月には、10%への消費税引き上げという"ビッグイベント"が控える。

 トランプ氏は規制緩和について、「1つ規制を導入したら2つ廃止する」と公約したが、実際は1つの規制導入につき、22の規制を廃止するペースで、立派な"公約違反"を続けている。一方、日本は規制強化の嵐で、「残業を制限する」「都内には新しい大学をつくらせない」など歯止めがきかない。

 トランプ氏の減税と規制緩和は、「神から与えられた自由を、政府から国民に取り戻す」という思想に基づく。その政策によって国民のやる気を引き出し、「勤勉に働けば報いられる国」を復活させようとしている。

 この考え方は、日本で言うならば「二宮尊徳精神」だろう。江戸末期に農政家として農村復興に活躍した二宮尊徳は、「だれにも、どんなものにも神仏に与えられた『徳』(長所の意味)がある。それを磨いて、神仏にお返しすることが尊く、豊かになる道だ」と説いていた。

 トランプ政権以上の大減税と大胆な規制緩和によって、国民が「徳」を発揮する環境をつくれば、減少し続ける所得を反転させ、大きく増やせるだろう。

 

 

(4)「譲」による社会保障改革

 減税や規制緩和に対しては、「格差が広がる」という反発が必ず出る。それをトランプ氏は、「ならばお互い助け合えばいい」という「騎士道精神」で乗り越えようとしている。

 補助金が膨らんだオバマケア(医療保険改革)を廃止する一方、教会などへの寄付を課税対象から外す制度を拡充するなどして「小さな政府」をつくろうとしている。

 日本は社会保障が肥大化した「大きな政府」路線を突き進み、このままでは消費税20%、30%への道が避けられない。

 二宮尊徳は、「徳」を生かし神仏に報いる道として、「勤勉に働き、倹約し、弱者を助ける」という「勤・倹・譲」の徳目を唱えた。この「譲」の精神に基づいて日本の社会保障を改革すると、どうなるか。

 今の日本の社会保障は、医療も年金も介護も政府が「全部面倒を見ます」という体制になっている。しかし個人や家族、企業などが「譲」の精神で助け合うことはもっとできる。

 つまり、政府が弱者を救済する「福祉」と、困窮や大病などのリスクをカバーするため民間企業が提供する「保険」と、個人として家族の生活を支える「貯蓄」をきちんと分ける、という改革だ。

 年金で言えば、老後の生活が厳しくなった人に政府が生活保護を給付するが、それ以外の人は民間の年金保険を買ったり、貯蓄したりして備えるという、当たり前の姿に戻れば、政府の重荷を軽減できる。

 個人や家族、企業、政府がそれぞれ本来の役割を果たすことで、「小さな政府」を実現できる。

 

 

(5)文明進歩へのインフラ投資

 トランプ氏が急拡大させるインフラ投資だが、日本では20年以上削減が続き、1995年の半分以下。安倍政権も緊縮財政で、それを転換する気配はない。

 トランプ氏が進めるインフラ投資は、民間企業の投資を呼び込むPPP(官民パートナーシップ)の枠組みを活用する。マスコミは「お金は集まらない」と懐疑的。だが、国民が自力で運命を切り開くというアメリカ建国の理念を重視するトランプ氏は、政府や各州、企業などが協力しながら「未来への遺産」をのこそうとしている。

 日本も国造りの精神に立ち戻りたい。鎌倉・室町時代は寺社が街道や水路などの交通インフラを整え、江戸時代は豪商、明治期は財閥がそれを担った。幕府や政府だけでなく、民間も国造りを引き受けたのが日本の歴史だった。その国造りの伝統に回帰し、日本もPPP方式でインフラ投資を拡大したい。

 先進国のインフラ投資や公共投資は、文明のレベルをもう一段引き上げる役割が重要だ。

 人生の時間を短縮する交通革命や都市の大改造。人類のフロンティアを開く宇宙・海洋開発。増え続ける人口など地球的問題を解決するエネルギー・食糧革命―。これらが文明の進歩に資する投資となる。

 

 

「創造主が愛する国」をつくる

 トランプ氏の経済政策の根底には一から国を建ち上げる国造りのスピリットがある。そして、「愛国心」「自由」「騎士道精神」「未来への遺産をのこす」という信念が、国民の「徳」(長所)を引き出しているといえる。

 暴言連発のトランプ氏のツイートだけを見ていると「?」が浮かぶが、節目節目の演説を聞けば、トランプ氏が「創造主に愛される国」を真剣につくろうとしていることが分かる。

 二宮尊徳は「神仏から与えられた『徳』を磨き、豊かになる」という思想について、「仏教、神道、儒教を合わせたもの」と説明していた。それは、すべての宗教に共通する創造主への信仰に近いものだろう。

 日本でも「創造主が愛する国」をつくるために、アベノミクス後の「5本の矢」が求められている。

(綾織次郎)

 

アベノミクス後の「5本の矢」

  • 1 「日本を愛する移民」を受け入れる
  • 2  高付加価値の製品をつくる工場の国内回帰を促す
  • 3 「尊徳精神」に基づいた大減税と大胆な規制緩和
  • 4 「譲」に基づき、社会保障を改革し、「小さな政府」へ
  • 5  文明を進歩させるためのインフラ投資を行う
タグ: 2018年6月号記事  編集長コラム  綾織次郎  トランプ  アベノミクス  国内回帰  社会保障  インフラ  移民  減税  規制緩和  

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