画像は公明党の公式HP。

《本記事のポイント》

  • 東京都議選を通じて、小池氏の台頭を招いた。
  • 骨太の経済政策がない。
  • 安全保障政策がない。

10日に公示を迎えた衆院選は、北朝鮮危機の到来、小池百合子東京都知事が代表を務める「希望の党」の登場により、選挙戦の読みが、例年になく難しくなっている。争点となっているのは、長年、議論が封印されていた「憲法改正」と、消費増税による「教育無償化」だ。

少し前まで、誰もが、こうした選挙戦になるとは予想だにしなかったが、この政局をつくった原因は、やはり、自民党と連立を組む公明党の存在が大きいのではないか。

都議選を通じて、小池氏の台頭を招いた

小池氏が影響力を強めた背景に、公明党との協力関係があるのは広く知られている。

昨年12月、東京都議会の公明党が、議員報酬の削減などで対立が深刻化した自民党との連携解消を発表。代わって、小池氏の「都民ファーストの会」と連携した。

しかしその後、希望の党が今年9月に立党。公明党本体はこれに反発する動きを見せたものの、いまだに、都議会の公明党は、都民ファーストとの連携解消には至っていない。当の小池氏も、首班指名の候補として「(公明党代表の)山口那津男さんがいい。連携していける」と一時発言するなど、公明党との関係を切るつもりはないようだ。

都議選を通じて、公明党が小池氏の台頭を許したというのは言い過ぎだろうか。

骨太の経済政策がない

今回の衆院選で公明党は、「教育負担の軽減へ。」とのスローガンを掲げ、「教育無償化」を柱に置いている。

そのため、同党のマニフェストは、旧民主党政権に近いバラまき政策が並んでいる。実際に同党HPの実績というページには、社会保障政策の充実を示す項目がズラリと並び、多額の税金を再分配した"功績"が紹介されている。一部を列挙すると、

  • 8月1日から年金の資格期間短縮
  • 都が私立高を実質無償化
  • ランドセル代 入学前に
  • 新たな住宅セーフティーネット制度

などなど。所得の再分配は、一定程度必要であり、それ自体を否定するつもりはない。だが、それを行うにしても、稼ぐ人を増やさなければ元も子もない。残念ながら、公明党の政策には、稼ぐ人を増やす「骨太の経済政策」が見えてこない。

政府の借金は今や、1100兆円を超えているが、その原因の一端は、公明党が一貫して推進している社会保障政策の充実に起因している。そして現在は、借金が多くなったからとの理由で、消費増税に賛成の立場を示している。

安全保障政策がない

公明党は政権与党の座にいながら、実は、安全保障政策を持っていない。かつて民主党政権は、「安全保障政策がないため、責任政党とは呼べない」と批判されたが、同じことが当てはまる。

例えば、安全保障関連法はその一つだ。この法律をめぐって、民進党議員が最近、希望の党と立憲民主党に分裂したが、もとはと言えば、公明党も、集団的自衛権の行使容認に否定的だった。

公明党は「自民党のブレーキ役」と称して、集団的自衛権を容認する立場をとったが、同法の内容が厳しく制限され、大きく骨抜きにされた背景には、自民党の公明党への配慮があった。

マニフェストには、「日米同盟の強化」「中国、韓国、ロシア等の近隣諸国との関係強化」などが書かれているが、肝心の防衛政策は、現状の方針を踏襲しているに過ぎない。

公約では憲法改正にも触れず

さらに、選挙で争点となっている憲法改正についても、公明党は、公約には触れず、「国会で憲法改正案を発議する際には何よりも国民の理解を得ることが不可欠だ」と記述するにとどまった。

「"安定の政治"こそ」というスローガンも掲げている公明党は、安定というより、「現状維持」のための政党と言えないだろうか。現実的に迫っている国難から国民を守るためには憲法9条の改正、バラまき政策に反対する政党の存在が必要だ。(山本慧)

【保守政党・公約比較】希望は候補が「民進党」、自民は政策が「民進党」

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