台南市長

頼 清徳

プロフィール

(らい・せいとく) 1959年生まれ。国立台湾大学リハビリ医学部を卒業後、ハーバード大学で公共衛生修士号を取得。医師から政界に転身。96年から立法委員(国会議員)に4回当選。その後、台南市長に当選し、現在2期目。いずれは民進党の党首に就任する可能性が高いと言われている。

台湾の蔡英文政権はこのほど、行政院長(首相)に頼清徳・台南市長を起用する人事を発表した。頼氏は、蔡氏よりも「台湾独立」への志向が高いと言われている。

蔡政権は対中関係に配慮して、「独立」論をひとまず封印していたが、ここへ来て独立派を起用したことが注目を集めている。

本誌2016年7月号では、この頼氏にインタビューを行い、台湾独立への意志と、日本への期待について聞いていた。本欄ではそのインタビュー内容を再掲する。

――(2016年)2月に台南地震が起きましたが、その後はいかがですか?

頼市長(以下、頼): 台南地震の時には、日本の政府や民間の数多くの方々から、温かいご支援をいただきました。誠にありがとうございます。

台南市政府は力を尽くして、救援活動や建物の修復をしてきました。被災者の立場で、一人ひとりの異なるニーズに応えるために、多様なケアを心がけるとともに、多くの義援金の使い道の透明化も徹底しました。

日本の熊本でも地震がありましたが、一日も早い復興を心からお祈り申し上げます。

――台南は観光地として有名です。魅力を教えてください。

頼: 台南では、さまざまな国や時代の文化が息づいていることを感じられます。オランダ、明朝の鄭成功の時代、清朝、そして日本。さらに、漢民族が来る前の、先住民のシラヤ族の文化なども残っています。

台湾の22の県や市の中でも、台南が最も日本と似た雰囲気の街だと思います。台南は、台湾文化の発祥地です。台湾に来た以上、台南を訪れなければ、台湾に来たとは言えません(笑)。ぜひ、日本の方々に、もっと観光に来ていただきたいと思います。

――台湾の独立を支持する立場を取られていますね。

頼: そもそも台湾は一つの主権国家です。最近の世論調査でも、台湾人の大多数は、台湾を独立国家と認識しています。

蔡英文新総統と民進党が大勝した選挙には、「中国と統一されたくない」という民意が表れており、私自身もそう考えます。

何よりも大事なのは、台湾が中国に依存することなく、「台湾の未来は台湾人が決める」ということです。そのためにも、民主主義的な価値観を共有する日本やアメリカと連携し、台湾の自由や人権を維持することが必要です。それは世界の平和や、発展にもつながるはずです。

蔡氏は、中国を挑発せずに、主権独立国家である台湾を強調し、台湾の民主主義や、人権を守ってくれると期待しています。彼女なら、中国に主権を譲ることなく、大陸と台湾の関係を、平和的に発展させることができるでしょう。

――日米に期待することはありますか?

頼: 経済面では、台湾も日本と同様に、アメリカが主導するTPPなどの貿易協定に加盟し、民主主義などの価値観を共有できる国々との協力を深めたいです。

国防面では、アメリカとも相談しながら、日本には防衛技術面で協力をいただきたいです。台湾有事の際に、日本が台湾を支援する「台湾関係法」の成立は、日台関係をより強くする先進的な考え方だと思います。

確かに、台湾が国連に加盟していないままで、日本が台湾を国として認めるのは難しいと思います。しかし、日本と台湾がお互いに国を強くしていく限り、東アジア地域の平和のバランスが崩れることはないと信じています。台湾はこれからも、日本との強い絆を大切にしていきたいです。

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