年金滞納者への強制徴収を拡大 実質納付率4割しかない状況では「焼け石に水」

年金滞納者への強制徴収を拡大 実質納付率4割しかない状況では「焼け石に水」

 

厚生労働省と日本年金機構は、2017年度から、国民年金保険料の滞納者に対する「強制徴収」の対象を広げる。現在、年間所得350万円以上の滞納者に強制徴収を行っているが、来年度からは、その対象を300万円以上に広げるという。日本経済新聞(20日付)が報じた。

 

保険料の納付率が約60%にとどまる年金制度。学生や低所得者に対しては、保険料の減免や免除措置があることから、実質的な納付率は約40%しかないことが問題視されている。

 

現行の制度は、「滞納者の増加→増税による積立金の穴埋め→保険料の値上げ→滞納者のさらなる増加」という負の連鎖に陥っている。

 

 

滞納者は「生活保護予備軍」

さらに、滞納問題に拍車をかけているのは、保険料を払うより、かえって、生活保護を受給した方が、生活は楽になるという構図になっている点だ。現役で働ける時は、保険料を踏み倒し、老後は生活保護を受けるという人が増え続ければ、地方・国家財政は、いずれ立ち行かなくなるだろう。

 

(年金制度に関する詳しいことは、本欄の「公的年金制度の二つの方式――積立方式と賦課方式とは」を参照。 http://the-liberty.com/article.php?item_id=11711 )

 

今回の強制徴収の拡大は、「焼け石に水」の手段と言え、根本的な制度改革が必要であることに変わりはない。年金を受け取る高齢者が増え続け、年金保険料を納める現役世代が減り続ける今、年金制度は事実上、破綻している。

 

しかし政府は、一向に制度改革に乗り出さないどころか、むしろ、「100年安心プラン」という美名を掲げ、消費増税への理解を求めている。現在の制度を維持するには、数%の増税では賄えないにもかかわらず、だ。

 

年金制度の破綻はショッキングな出来事ではあるが、現実を受け入れ、「新しい制度はどうすればいいか」という国民的な議論を始める時期に来ている。

(山本慧)

 

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2016年7月26日付本欄 【そもそも解説】公的年金制度の二つの方式――積立方式と賦課方式とは

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タグ: 年金  滞納者  強制徴収  生活保護  制度改革  消費増税  破綻  積立方式  賦課方式  

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