新しい防衛大綱で島嶼部の奪還部隊設置へ 中国に攻めさせない体制づくりを目指せ

2013.12.19

政府は17日、今後10年を見据えた外交・安全保障戦略の指針となる初の国家安全保障戦略(NSS)と、同戦略に基づく「防衛計画の大綱」、来年度から5年間の「中期防衛力整備計画」を閣議決定した。国家安全保障戦略の基本理念は「国際協調主義に基づく積極的平和主義」とし、「我が国と郷土を愛する心を養う」という文言も盛り込まれた。

防衛大綱で重視されたのは、陸海空の3自衛隊が共同してあたる南西諸島の防衛策だ。航空自衛隊は、中国の航空機の警戒や監視に当たる部隊を増強し、領空侵犯に対する緊急発進(スクランブル)を行う戦闘機部隊も倍増する。海上自衛隊は、護衛艦を増強し、尖閣諸島周辺の領海侵犯に備える。

また、島が占領されてしまった場合に備えて、陸上自衛隊に「水陸機動団」を新たに設置する。航自と海自の支援を受けて、オスプレイや水陸両用車で上陸し、島の奪還にあたる。

中国の軍事拡張に対応するためには南西諸島の防衛増強は望ましいし、離島奪還のための専門部隊は必要だ。しかし、今回の大綱はあくまで「どうやって島を取り戻すか」という前提に立っており、「占領されないためにはどうしたら良いか」という議論が抜けている。もし、島を占領されてしまえば、取り返すのは極めて困難だ。しかも専門家の間では、サンゴ礁の多い南西諸島では、水陸両用車が機能しない場合もあると懸念されている。

必要なのは、中国や北朝鮮に「手を出させない」体制をつくることだ。そのために、自衛隊の駐屯地や拠点を増やし、陸海空の3自衛隊の協力をすすめるとともに、対艦ミサイルや防空ミサイルを配置し、中国の艦隊や航空機をけん制する必要もある。その上でアメリカとの連携を深め、占領された場合の奪還作戦にあたるべきだろう。

大綱では北朝鮮のミサイルを想定した敵基地攻撃能力についても公明党が慎重姿勢を取っており、検討事項にとどまっているが、朝鮮半島でいつ有事が起きてもおかしくない以上、早急に具体化すべきだ。

日本が国防を増強し、中国や北朝鮮をけん制することができれば、東南アジア各国の安全保障にもつながる。来年以降に先送りされた集団的自衛権の行使容認や憲法9条改正などの問題も早期に解決し、もう一段の国防増強を進めるべきだ。(晴)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『国を守る宗教の力』 大川隆法著

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2013年12月号記事 2020年「盟主」日本がアジアを守る──中国封じ込めの国防戦略

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