「フラット・タックス」の生みの親ロバート・ホール氏がノーベル経済学賞を受賞 ─ ケインズ経済学の再構築で受賞するも、米保守派は減税運動の知的基盤を築いたことを評価
2026.10.13
ロバート・ホール氏。
《ニュース》
フラット・タックスの生みの親である経済学の巨匠ロバート・ホール氏が12日、ノーベル経済学賞を受賞しました。
《詳細》
スウェーデンの王立科学アカデミーは12日、米スタンフォード大学のロバート・ホール氏にノーベル経済学賞を授与すると発表しました。
ホール氏は1970年代に、家計が消費を増やすのは、現在の所得だけではなく、将来の収入や保有資産などさまざまなものに影響されるものであり、「将来予想が楽観的な場合は消費が増え、悲観的であれば消費が減る」とし、消費の変化はそもそも予測できないはずだという仮説を示しました。
つまり、補助金をばら撒くことなどによって消費を増やそうとしても、家計が政府の想定どおりに反応するとは限らないことを示唆しました。
これは、戦後経済で主流だった「政府支出を増大させることで、家計の支出を促し、経済を活性化させる」という従来のケインズ経済学の理論を覆したものとして評価され、コロンビア大学のマイケル・ウッドフォード氏と共に今回の受賞に至りました。
しかし、米保守派は受賞した研究よりも注目しているのは、1981年に世界で初めて「フラット・タックス」を、アルビン・ラバシュカ氏と共に提唱したことです。これは、累進的な税制を、シンプルで安い一律税に置き換えるというもので、具体的には、個人と企業の所得税を廃止し、賃金と事業所得に19%の一律税率を適用し、投資は課税対象から除外するという税制案です。
この新しい税制は絶大な影響を与え、サプライサイド経済学の父で、現在はトランプ米大統領に政策提言を行うアーサー・ラッファー氏が84年に「完全なフラット・タックス」という論文を発表。92年には民主党の大統領候補となったジェリー・ブラウン元カリフォルニア州知事がラッファー氏の協力を経て練り込んだフラット・タックスを政策レベルで提唱し、全米で大きな注目を集めてきました。
さらに94年にはエストニアでフラット税制が導入され、OECD加盟国内で最も競争力のある税制と評価されています(米タックス・ファウンデーションの調査報告)。ロシアでも2001年に所得税が一律13%となり、現在はハンガリーやジョージアなどの東欧諸国をはじめ約20カ国で採用されています。これによって多くの国で経済成長が促進され、失業率が低下し、納税遵守率が向上するという結果が出ています。
今回の受賞についてラッファー氏は12日、「あの人たち(ノーベル委員会)でさえフラット・タックスが良いと考えているということは、フラット・タックスの信憑性を高めることになるのは間違いない」と語りました(米メディアのワシントン・エグザミナー)。
減税や規制撤廃など自由主義経済を支持する米シンクタンク「アンリーシュ・プロスペリティ(UP)」は、「友人のロバート・ホールさん、おめでとうございます。しかし、この賞は本来、このアイデアを広め、世界中に発信したUPの共同創設者であるアーサー・ラッファーとスティーブ・フォーブスにも贈られるべきだったのです!」と声明を発表しました。
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