【名画座リバティ (28)】夏に観たい青春コメディ──『サマータイムマシン・ブルース』
2026.07.12
ポニーキャニオン『サマータイムマシン・ブルース』より。
映画ファンの皆様、今年もお約束のように暑い夏がやって来ますね。
名画座リバティでは毎回、仏法真理にかなったストーリーの感動できるいい映画を中心に取り上げています。そのため真面目な映画ばかりになりがちですが、せっかく夏休みが来るので、たまには思い切りリラックスできる映画もご紹介したいと思います。この『サマータイムマシン・ブルース』は脚本の面白さ8割、暑い夏の季節感2割で出来上がっているような作品で、地方都市の大学生たちの夏休みの出来事をSFチックに描き、最後はポジティブな気持ちにさせてくれるウェルメイドな(well made=よくできた)コメディです。タイトルは1958年のアメリカのヒット曲「サマータイム・ブルース」のもじりです。
(あらすじ)
四国の地方都市にある大学のSF研究会の甲本(瑛太)ら男子学生5人は、部室を共有するカメラクラブの柴田(上野樹里)ら女子2人と気楽に夏休みを過ごしていた。前日に部室のエアコンのリモコンが故障し、皆が暑さに音を上げているところに突然、未来からタイムマシンが現れる。彼らは「タイムマシンで昨日の世界に戻り、壊れる前のリモコンを取ってくる」ことを思いつき、男子3人が昨日に旅立つ一方、「今日」の世界には25年後=2030年のSF研部員と名乗る「未来人」の男子が現れる。大学助手でSF研顧問のホセ(佐々木蔵之介)が「過去を変えればすべてが消えてなくなるだろう」と警告するなか、彼らとリモコンの運命は──。
……と、手短にあらすじを書きましたが、実際にはこの3倍の文字数を費やしても足りないくらい過去・現在・未来が入り組んだストーリーです。それでいて複雑でわかりにくいことはなく、さらには甲本の柴田への恋心が絡み、よくこんな脚本を考えたものだと感心させられます。
タイムトラベル映画の傑作といえば、2001年イギリスのファン投票で「20世紀で一番面白かった映画」第1位に輝いた『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(BTTF。1985年)ですが、本作の日本人らしい寄木細工のような緻密な脚本設計と多くの小ネタは、ある意味BTTFに負けないほどの面白さです。ちなみに本作の細部にはBTTFへのオマージュがいくつか使われていますので、興味のある方は映像から探してみてください。
本作は「劇団ヨーロッパ企画」が2001年に初演したオリジナル舞台劇を映画化したものです。舞台はヒットし、映画化の影響もあって2018年まで再演を重ねました。私事ですが、筆者の長男は高校生のとき、自宅で家族と本作のDVDを観て惚れ込み、舞台の脚本を買ってきて秋の学園祭のクラス演劇で上演し、クラスは賞をとりました。筆者はそれを観に行き、舞台劇としても面白かったことを覚えています。舞台劇を映像化してさらに楽しませてくれた本広監督と、地方の、のんびりした大学生たちが、珍妙な騒動を繰り広げながらも若さと希望を漂わせる空気感を、見事に現出させた出演者たちに、拍手を送りたい気持ちです。
邦画ファンにとっては、撮影当時18歳の初々しい上野樹里がヒロインを演じているのも魅力です。甲本が彼女に寄せる恋心の結末が気になるところですが、エンディングのセリフが軽妙かつさわやかに未来への希望を打ち出しており、まさに舞台の余韻ある幕切れを思わせます。
それにしても、よくできたタイムトラベルものは、なぜこんなに面白いのでしょう。大川隆法・幸福の科学総裁の作詞・作曲による楽曲「タイムマシン」にはこんな歌詞があります。
「タイムマシンは機械じゃない。/タイムマシンは人の心。/タイムマシンは神の心。」「念(おも)いが行動だと悟った時に、/あなたがたの未来の夢さえ変わってく。」
この歌詞は深い意味を感じさせます。過去や未来へと時間を行き来することは古来、人類の夢ですが、それを可能にするのが「機械ではなく人の心であり神の心である」とは、どういうことか。念いという目に見えないものが、行動という目に見えるものに等しいなどということがあるのか。その意味を悟った時、私たちの未来の夢は変わる──。そうした「未来実現の法則」を、私たちは潜在意識下で知っているのかもしれません。ゆえにタイムトラベルものというエンタテインメントのかたちでそれを目にするとき、懐かしさと希望の入り混じった、時空を超えた面白さを感じるのではないでしょうか。
タイムマシンで昨日にリモコンを取りに行くという、何ともユルいストーリーで笑わせながら、現代科学の先にある宇宙の真理を自然なかたちで感得させ、「未来は変えられる」という勇気を与えてくれる。そんな本作は、コメディというかたちをとった、観る人への優しさと励ましの"暑い"結晶です。本作を鑑賞したら、あなたもポジティブな勇気と希望をもって、楽曲「タイムマシン」の次の歌詞を口ずさんでみては。
「心の中のタイムマシンよ、作動せよ。」
(田中 司)
『サマータイムマシン・ブルース』
- 【スタッフ】
- 監督:本広克行 脚本:上田誠
- 【キャスト】
- 出演:瑛太 上野樹里 ムロツヨシ 佐々木蔵之介ほか
- 【その他】
- 2005年製作 | 日本 | 107分
【関連楽曲】
『タイムマシン 〔CD〕』
〔作詞・作曲〕大川隆法〔歌〕田中宏明
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