菅首相の「責任逃れ」が止まらない 海水注入中断問題
2011.05.23
6月の国会終盤を控え、自民党などが内閣不信任案の提出を探っているが、中でも菅直人首相が震災翌日に原子炉への海水注入を止めるよう指示し、被害を拡大したのではないかという「疑惑」が一つの焦点となっている。
これは、3月12日に東京電力が福島第一原発1号機に海水注入を開始した際、菅首相が「聞いてない」として注水を約1時間にわたって中断させたという内容。この中断が影響し、1号機の炉心溶融が進んだとされる。
この首相の言動に対しては、原子力安全委員会の斑目春樹委員長が「海水注入で再臨界が起きる可能性」を示唆したことが影響したとされる。
しかしその後、細野豪志首相補佐官が「首相の指示ではなかった」と説明。一方、責任を押し付けられた格好の斑目委員長は、「再臨界の可能性はゼロではない」という発言内容への訂正を申し出た。
政府部内で責任の押し付け合いをしている状態だが、これは大震災以前から変わっておらず、菅首相の責任逃れが目に余る。尖閣諸島での中国漁船衝突事件で中国人船長を釈放したのも沖縄地検の責任。今回の原発事故では東京電力を一方的な加害者に仕立て上げ、すべての損害賠償の責任を負わせている。福島第一原発周辺の放射能汚染に過度に反応し、住民の生活と仕事を崩壊させているのも、万が一何か起きたときに責任を追及されたくない自己保身の一策だ。
そして、本格的な復興対策費を盛り込む2次補正予算案を今国会に出さないまま、6月22日の会期末をもって国会を閉じようとしている。菅首相のすべての行動が責任逃れであり、自分が首相のポストに一日でも長く居座ることだけを考えている。
誰が第一原発への海水注入を中断させたのかどうかが問題なのではなく、菅首相が常に言い逃れ、責任逃れをしていること自体が問題だ。原発事故への対処と震災復興の責任を正面から背負うトップへの交代を求めたい。(織)
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