韓国の国家情報院は、北朝鮮の玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)人民武力相(国防相に相当)が4月30日に処刑された情報があることを発表した。

玄氏は以前から、金正恩第一書記の指示や命令に従わず、不満を表明しており、4月24、25日に開かれた人民軍幹部大会で居眠りをしたことを機に、軍幹部ら数百人の公開の場で銃殺されたと見られている。正恩氏体制下ではこれまでに、幹部70人余りが処刑されている。

この背景には、北朝鮮の権力中枢部で、正恩氏の指導力に懐疑的な見方が広まっているという事情があるようだ。これに対し正恩氏は、不満を持つ者を容赦なく処刑。国際的に孤立し、経済難に打開策も打てず、恐怖政治を行って引き締めを図る以外に方法がないほど行き詰まっていると考えられる。

30代の血気盛んな正恩氏が、今後、国内の統制の行き詰まりから暴発してもおかしくない状況に来ているのか。実際、北朝鮮の朝鮮人民軍は13日、韓国との軍事境界線付近で砲撃訓練を開始。艦砲など約130発を発射した。これに先立つ9日には、水中の潜水艦から弾道ミサイルを発射する実験を成功させたとも報じられた。潜水艦と弾道ミサイルは現在開発中で、4~5年で本格的な運用が可能となる見込みという。

北朝鮮はすでに、アメリカ本土に届く核弾頭ミサイルの技術を手にしたと言われ、その脅威が及ぶ範囲は東アジアを超えているが、恐怖政治であらゆる自由が制限され、奴隷状態に置かれている北朝鮮国民を一刻も早く解放するためにも、国際社会は協力して、北朝鮮の金王朝を打倒すべきだろう。

そのために、アメリカが果たすべき役割は大きい。だが、世界の警察官を辞めることを宣言したオバマ米大統領に具体的な行動を促すには、やはり、同じ東アジアの国・日本がその決意を固めることが前提となる。

安倍内閣は今国会で、集団的自衛権の行使を可能とする内容などを盛り込んだ安全保障関連法案を可決・成立を目指しているが、当然、このような法案は成立させなければならない。

「戦争する国になるつもりか!」などという批判もあるが、「戦争を仕掛けてくる可能性が極めて高い国」が近くに存在する以上、「国民を守れる国」になる必要がある。そうでなければ、「戦えずに滅んだ国」になってしまう。

「戦争する国」と批判する日本人は、ぜひ、軍拡を進める北朝鮮や中国に対し、「戦争する国づくりをやめろ!」と言っていただきたい。(泉)

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