ローソンと佐川急便を傘下に持つSGホールディングスが業務提携し、コンビニ商品を利用客の自宅まで宅配するサービスを、6月から開始することを発表した。配達先では、必要な商品の注文を受け付ける御用聞きも行う。ローソン商品の配達は無料だ。ローソンは、このサービスを通じて、高齢者需要を獲得しようと考えている。

全国のコンビニの店舗数は、飽和水準と言われる5万店を超えている。また、多くの小売店は、インターネット通販などに売り上げを奪われつつある。そのため、競争の激しいコンビニ業界は、売り上げ増大のために躍起になっている。

今回のローソンの戦略は、経営の行き詰まりを打開するための斬新な手法にも見えるが、店舗と顧客の距離が近かった、ひと昔前の商売の基本に立ち戻ったものであるとも言える。

現在コンビニエンスストアとなっている店舗の多くは、かつて酒屋や米屋だったところが多い。そうした店では、体が弱くて重いものを運べない高齢者の自宅に商品を配達し、御用聞きによって会話を交わしていた。

酒屋や米屋と比べれば、経営手法も商品も「イノベーション」を重ねてきている。だが、商売の基本は変わらないのではないかと思わされる。それは、顧客一人ひとりのニーズと丁寧に向き合っていく姿勢だ。「御用聞き」を大事にしていく方向性は、そうした基本に立ち戻っていく流れといえる。

さらに、商売を通じて高齢者と定期的にコミュニケーションを取ることで、地域の様子を把握し、高齢者の体調等を気遣うこともできる。コンビニが地域に密着したサービスを行うことは、国の福祉政策の一部を肩代わりしているとも言えよう。

ローソンと佐川急便という一見異質な組み合わせが、「古くて新しい」サービスを生み出していくことを期待したい。(泉/佳)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『イノベーション経営の秘訣』 大川隆法著

http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1267

【関連記事】

2014年7月19日付本欄 ローソンが戦略特区で農業に参入 規制緩和で「稼げる農業」を育てよ

http://the-liberty.com/article.php?item_id=8147

2015年1月10日付本欄 イノベーションするための「時代の読み方」人気コンサル・小宮慶一氏に聞く

http://the-liberty.com/article.php?item_id=9030