シンガポール「建国の父」とも呼ばれるリー・クアンユー元シンガポール首相が91歳で死去した。長男で現首相のリー・シェンロン氏はテレビで国民に向けて演説し、「リー・クアンユーはシンガポールそのものだった。彼が去った後も国民が一丸となり、彼が築いた礎や理想を引き継がなければならない」と呼びかけている。

マレー半島の先端に位置し、面積は東京23区と同じくらいの小さな島国であるシンガポールは、19世紀にイギリスの植民地となった。1942年に日本の統治下に入った後、イギリス自治領を経て63年にマレーシア連邦として独立。しかし、シンガポールの中国系住民の多さが連邦の結成を乱すとして分離独立を迫られ、65年に独立した。

リー氏は徹底的な独裁体制を敷き、約30年間首相の座についた。その間、インフラ整備で工業化を進めるとともに、税制優遇で外資を呼び込み、金融センター化を実現。急速な経済成長を成功させた。また、東南アジア諸国連合(ASEAN)創設にも寄与。東南アジアの発展の礎を築いた一人と言える。

シンガポールは今年建国50周年を迎える。ただ、問題も多発しており、国の将来には不透明感が漂う。

一つは、少子高齢化が進んでいることだ。女性の高学歴化、結婚の減少が進み、2020年には労働人口が減少に転じると見られる。そのためリー氏が晩年提唱していたような移民の受け入れを進める必要があるのは明らかだ。しかし、カリスマであるリー氏亡き後、多民族国家であるシンガポールをどうやってまとめるかは大きな課題である。

また、同国では自殺の増加も大きな問題だ。同国の自殺予防団体によれば、2012年の自殺者数は前年比で30%増加し、20代は80%の増加だった。多民族国家であるシンガポールでは国教は定められておらず、無神論者も比較的多い。宗教対立を防ぐための施策とは言え、競争社会を生きる人々にとっての精神的な支えも欠けている。

大川隆法・幸福の科学総裁が2011年、シンガポールで講演する際にシンガポール霊界を調査したところ、神が存在していないことが分かった。これは新しい国によくあることだが、それを踏まえて大川総裁は、「シンガポールがさらなる繁栄に向かうには、経済発展とも両立する霊的な思想が必要」と説いている。今後のシンガポールには、国の繁栄を肯定しつつ、神仏への信仰を重んじる、各分野において優れた人材を輩出することを目指す必要があるだろう。(晴)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『大川隆法 シンガポール・マレーシア 巡錫の軌跡』 大川隆法著

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幸福の科学出版 『日本の繁栄は、絶対に揺るがない』 大川隆法著

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