安倍首相らの靖国参拝について、中国と韓国は激しい批判を展開しているが、その他のアジア諸国の反応は冷静そのものだ。

インドネシアのクオリティーペーパーであるコンパス紙は、12月28日の紙面で、「(靖国問題で)自らを被害者だと位置付ける中韓の主張は一面的な見解だ」と掲載。また、シンガポール最大手紙であるストレーツ・タイムズ紙は、安倍首相が靖国参拝を決意したのは、終戦記念日などの参拝を見送っても中国と韓国の強硬な姿勢が変わらず、「冷え切った中韓との関係に改善の見込みは少ないと見切ったためだ」と分析した(3日付産経)。

その他のアジア諸国のメディアにも、やはり冷静な記事が多い。サウジアラビアを代表するアラブニュースは「安倍首相、戦没者の靖国神社に参拝」、インドで340万部を誇るザ・タイムズ・オブ・インディアは「安倍首相、物議を醸す戦没者の靖国神社に参拝」との見出しで、安倍首相の靖国参拝に対し、中国と韓国が批判をしているという内容を報じており、靖国参拝への評価はしていない。

また、靖国参拝への賛否表明は避けたものの、国として声明を出しているところもある。ベトナムの外務省報道官は、12月31日に「われわれは関心を持っており、日本側から声明を聞いた。日本が地域の平和と安定、協力のために、問題を適切に処理することを希望する」と述べた。同日、インドは、「日本と他国が議論を深め、協力して解決することを望む」と声明を発表している。

一方、米政府は靖国参拝について「失望」という表現を使って声明を出したが、アメリカン・エンタープライズ政策研究所のマイケル・オースリン日本部長は、「日本が対処すべき問題で、在日米大使館はあのような声明を出すべきではなかった。米政府は関係国の解決に向けた努力を促すべきで、非難すべきでない」と語っている(12月27日付日経)。このようにアメリカ国内でも、政府の声明に対して疑問の声をあげている人もいる。

中国と韓国は靖国参拝にヒステリックな反応をしているが、他のアジア諸国の報道を見れば、騒いでいるのは中国と韓国だけのようだ。日本国内の報道でも、まるで靖国参拝が悪いかのように言う報道が目立つが、中国と韓国の見方に偏っていると言わざるをえない。日本のマスコミは正しく世界の意見を伝え、国民の「知る権利」に応えるべきだ。(慧)

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