東北3県を中心に大きな爪あとを残した東日本大震災から4年が経つ。被災地では、復興が進んでいる地域もあるが、今なお、23万人(福島県では12万人)もの人々が避難生活を余儀なくされている。

時間の経過とともに、避難指示が解除される地域も増えているが、放射線の影響などを恐れ、故郷に帰ることを躊躇する人は少なくない。福島県内では、他の地区に先駆けて避難指示が解除された、川内村東部地区や田村市都島東部地区であっても、故郷に帰ってきた人数は、台帳上の人口の過半数にも届かないという(6日付毎日新聞電子版)。

だが、ここまで大規模で、長期間の避難は、そもそも必要ない。

年間100ミリシーベルト以下で、健康被害は確認されていない

震災当時、民主党の菅直人政権は、福島第一原発から半径20キロ圏内を「避難指示区域」に設定し、福島県民の帰還条件として、「年間20ミリシーベルト」という基準を設けた。

だが、放射線防護学の第一人者である、札幌医科大学の高田純教授は、福島県民が受けた放射線は年間10ミリシーベルト以下で、健康被害のないレベルと指摘している。

また、日本の放射線医学総合研究所も、「100 ミリシーベルトより低い線量では、がん死亡のリスクの増加が統計学的に検出されない」。国連科学委員会(UNSCEAR)や国際放射線防護委員会(ICRP)、世界保健機関(WHO)などの国際機関も、「100ミリシーベルト以下の被曝では、人体に影響は認められない」としている。

つまり、「年間20ミリシーベルト」という帰還条件に妥当性はなく、事故直後の段階でも避難解除は可能だった。

除染目標「年間1ミリシーベルト以下」を掲げた民主党の愚

また、菅政権の細野豪志・環境相(当時)は、除染目標を年間1ミリシーベルト以下に設定し、放射線の危険性を過剰に煽った。世界の自然放射線の平均値が年間2.4ミリシーベルトであることや病院のCTスキャン1回分の被曝線量が6.9ミリシーベルトであることを考えても、「1ミリ」に脅え、「汚染された土」などと騒ぐ現状はおかしい。

物事を科学的に判断できない民主党政権の「恐怖心」が、マスコミによって増幅され、日本全国のみならず、全世界へと広がり、環境左翼の運動などと融合して「反原発」「脱原発」が正義であるかのように捉えられているのが現状だ。

強制避難によって、国家が国民の生命、安全、財産を奪っている

福島が安全であることを裏付けるように、震災後、福島第一原発事故の放射線の影響で死んだ人は一人もいない。その代りに、避難先の慣れない生活のストレスなどをきっかけにして亡くなった「震災関連死」は多い。

復興庁の調査によると、昨年9月時点で、福島県では「震災関連死」が1793人に達した。津波などの直接的な影響で亡くなった「直接死」の1603人を上回っている。 これは、強制的に避難させている政府による"人災"と言っても過言ではないだろう。

また、2012年10月に東京電力が発表した報告書によると、報道などによる被災地の農業や漁業、観光業などの風評被害による損失額は1.3兆円にも達するという。本来、国民の生命、安全、財産を守るべき政府が、"積極的に"それらを奪っている現状は正されなければならない。

政権交代が行われたとは言え、安倍自民党政権は、被災地の人々の心を支配する「放射線への恐怖心」を取り除くために、「福島は安全です。みなさん、福島に帰りましょう」と宣言し、復興を後押しすべきである。

震災で亡くなった方々への哀悼の意を表するとともに、一日も早く被災地の復興が進むことを、心から祈りたい。(冨)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『震災復興への道』 大川隆法著

http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=38

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