安倍晋三首相は戦後70年の今夏、日本の歴史認識を示す「安倍談話」を出す。この談話に関する有識者懇談会のメンバー16人が発表された。20日付の各紙は「中国に配慮した人選」「未来志向」など、さまざまに論評している。だが、忘れてはいけないのは、この談話が持つ意味だ。

有識者懇談会の正式名称は「20世紀を振り返り21世紀の世界秩序と日本の役割を構想するための有識者懇談会」。菅義偉官房長官は記者会見で、「英知を結集して考え、新たな談話に書き込んでいきたい」とした。メンバーは、日本郵政社長の西室泰三氏や、国際大学長の北岡伸一氏のほか、学識経験者や経済人、メディア関係者などが選ばれた。

座長に就任予定の西室氏は、日中両国の有識者による「新日中友好21世紀委員会」の日本側の座長を務め、2009年からは中国投資有限責任公司の顧問も務めるなど、中国と太いパイプを持つ。安倍首相がこうした人物を座長に据えることで、懇談会の中立性を印象づけようとしている、などと各紙は報じる。

しかし、戦後50年の村山談話や60年の小泉談話では、こうした懇談会は設置されていない。国内外に向けて、「有識者の助言を参考にした」と、どちらにも取れる形で責任を曖昧にし、自虐史観をベースにした談話をつくるつもりなのか。

現時点では、慰安婦の強制連行を認めた「河野談話」、アジアへの侵略を謝罪した「村山談話」を踏襲した談話になりそうだが、そうであってはならない。なぜならば、戦後70年の節目に、改めて首相が謝罪することは、これまでに戦勝国がつくり上げた「戦後体制」に、これからも従い続けていくという意思表示になるからだ。

だがそれは、人種差別の思想でアジア・アフリカを植民地支配し、目を覆いたくなるような圧政や虐殺を行ってきた欧米のキリスト教国や、軍事大国化して周辺国を脅かす中国などがつくる「体制」に膝を屈することになる。

戦後70年の新談話は、単なる一国の首相の「見解」ではない。欧米に歴史の見直しを迫り、中国の軍事独裁を否定する役割がある。つまり、「戦後体制」に終止符を打ち、世界を新たな時代へと導く役割が期待される。安倍首相には、新談話が持つ重い意味について、思いを馳せていただきたい。(居)

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