学校法人・幸福の科学学園は、新たな大学教育モデル創造のため、2015年春に「幸福の科学大学」の開学を目指していた。しかしこれに対し、下村博文・文部科学大臣は設置「不認可」を言い渡した。

その理由は、「教育課程が、大川隆法・幸福の科学総裁の行う『霊言』に基づいている」「『霊言』には科学的実証性がない」というもの。

しかし、同学校法人が文部科学省に提出した申請書類に、「霊言に基づいて教育・研究を行う」という文言は一切無い。

その判断に関して、大学設置室の新木聡室長は学園関係者に、「教団ホームページの内容を参考にして、『霊言を根底にした教育をする』と類推した」と話したという。今回の不認可は、申請内容の曲解に基づくものだったということだ(関連記事(1)参照)。

「幸福の科学大学」で申請していた3学部構想とは?

実際は、どのような申請内容だったのか。「幸福の科学大学」では「人間幸福学部」「経営成功学部」「未来産業学部」の3学部が構想されている。

「人間幸福学部」とは?

「人間幸福学部」は、「個人や社会を幸福にする方法を、あらゆる角度から研究する」ための学部だ。

既存の学問では、無数の難解な学説が生み出されている。しかし、それらが人間の幸福につながっているかというと、疑わしい。

例えば、一時期、流行った「ハーバード白熱教室」のマイケル・サンデル氏の授業はどうか。正義をめぐる哲学的議論は、知的刺激にはなる。しかし、結局は「何が正しいのか」という価値判断は下されない。既存の学問は価値判断を避けたがるが、それでは、個人の社会生活や仕事、組織・国家運営などさまざまなレベルで、人々を幸福にする判断基準が持てない。

人間幸福学部では、「人間を幸福にする」という観点から、宗教、哲学、心理学など、人文学系の学問を、「人間の幸福」という視点で再構築。例えば、同じ「心理学」でも、「どのような心理を心がければ、人間関係で幸福となり、仕事で成功するか」という観点でつきつめて研究し、学習できる形にする。実用性を追求した教育だ。

「経営成功学部」とは?

「経営成功学部」構想の背景にあるのは、「企業の7割が赤字」という日本の現実。これは、景気悪化のみならず、経営者が「経営を成功させる方法」を十分に学べていない実情を表す。「経営経験のない学者の分析した、大学の経営学を学んでも、経営はできない」というのも有名な話だ。

「経営成功学部」では、そんな現状を打破するため、実践的な経営教育を行う。そこには、経営者としての姿勢、起業をする方法、小さな企業を拡大させる方法、企業を経営危機から救う方法、などが含まれる。

例えば、多くの企業を危機から建て直した経営コンサルタント一倉定が語っていた、「倒産寸前の会社の場合は、まずはお客様のところを回りなさい」という考えや、松下幸之助の「ダム経営」などだ。

学部名に「成功」という言葉が入っているのは、「卒業生を経営で成功させる」という、学問の「結果責任」を示すため。事業の志を掲げることは、実際の経営では最も大切なこと。既存の大学の経営学では、さほど重要視されていないように見受けられる。

この「経営成功学」は、30年足らずで世界的な組織を創り上げた、大川隆法・幸福の科学グループ創始者兼総裁の智慧や経験にも裏付けられている。

「未来産業学部」とは?

「未来産業学部」では、新文明の基礎となる「新産業の創出」を担う人材を養成する。

先進国・途上国に関わらず、産業技術が進歩することで解決する社会問題は多い。また、特に日本は「ものづくり大国」だ。新たな産業を生むことで、経済全体にとっても大きなプラスになるだろう。

同学部ではまず、新たな産業創出を下支えできるような、機械工学、電気電子工学などを学ぶ。その上で、各分野を融合して研究をする方法も身に付ける。植物工場の産業化や、宇宙開発に向けた衛星の研究なども、研究対象としていく。

また、技術開発の成果を、新たな事業に結びつけるマネジメント方法である「技術経営」、世界で活躍するための語学、国際的教養なども学び、真に「人間の幸福に寄与し得る理系人材」の輩出を目指す。

私塾をつくるも、大学設置は決して諦めない

文科省の「霊言が根底にある教育は認められない」という主張が、とんだ見当外れであることがわかる。学校法人は、文科省に対して納得のいく説明を求めているが、正式な返答はない。

しかし、上の教育内容を見て、「幸福の科学大学で学びたい」と受験準備をしていた学生や、新たな教育モデルに期待する支援者は数多い(関連記事(2)参照)。

そこで幸福の科学は、高等宗教教育研究機関「ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ(HSU)」という形で、その要望に応えることを決めた。HSUは2015年春の開学を予定している。卒業しても学士の学位が与えられないにも関わらず、多くの入学希望の声が集まっている。

もちろん同学校法人が、「大学設置」を諦めたわけでは決してない。文科省の判断には多くの問題がある。幸福の科学学園は、今後も不認可の理由を文科省に問いただし、認可を勝ち取る姿勢を崩さない。

【関連記事】

(1)【大学不認可問題】文科省にこそ不正あり ホームページをもとに答申作成(2014年12月3日付本欄)

http://the-liberty.com/article.php?item_id=8854

(2)「未来創造学」が世界を救う(編集長コラム)

http://the-liberty.com/article.php?item_id=8689

(3)【大学不認可問題】幸福の科学大学を志望していた高校生の涙(2014年11月14日付本欄)

http://the-liberty.com/article.php?item_id=8728

【大学不認可問題】幸福の科学大学に関する10の疑問に答える(2014年11月21日付本欄)

http://the-liberty.com/article.php?item_id=8793

【大学不認可問題】下村博文・文科相と文科省の10の不正行為(2014年11月30日付本欄)

http://the-liberty.com/article.php?item_id=8836