中国公船による沖縄県・尖閣諸島周辺の接続水域への侵入が連日続いており、1カ月連続になろうとしている。中国公船の領海侵犯は、2009年から2012年8月までは9隻だけだったが、2012年9月以降は1カ月あたり6~28隻と激増している(海上保安庁発表)。また防衛省によれば、中国空軍機に対する航空自衛隊のスクランブル回数は昨年415回におよび、ここ4年で10倍に増えている。尖閣諸島を奪おうという中国の本気度が伝わってくる。

フィリピンやベトナムは、領有していた離島が中国海軍に実効支配され、軍事基地を作られてしまった。日本は、尖閣諸島が中国によって実効支配されないために、防衛力を強化しなければならない。

近年の中国はすさまじいペースで軍拡を行っており、技術力の進歩も侮れない。その1つが潜水艦だ。かつての中国海軍の攻撃型原子力潜水艦「漢型」と言えば、騒音が多くて簡単に発見することができた。ところが最新の中国の攻撃原潜「商型」は、米海軍のロサンゼルス級攻撃原潜と同レベルの静粛性を持つという。そのような潜水艦が、毎年数隻ずつ増強されている。

中国の軍拡の脅威にさらされている日本だが、防衛についてはアメリカに頼らざるを得ないのが実情だ。そのアメリカは、東アジア情勢をどう捉えているのだろうか。米海軍太平洋艦隊司令部の情報担当のファネル大佐は、中国海軍が「対日短期決戦」の準備を進めているとの分析を、このほど海軍主催のフォーラムで発表し、危機感を募らせている。

一方のオバマ政権は、中国対策を意識した「アジア・リバランス」の方針を掲げているが、有名無実化しているという懸念はぬぐえない。昨年の米国務省のアジア予算は8%で、微増したものの地域別で4位にとどまっているのが現状だ。

そんな消極的なアメリカの姿勢に、日本側が不安を抱くのは当然だろう。深刻な財政難に頭を悩ませるアメリカに、いつまでも自国の防衛を委ねるわけにはいかない。集団的自衛権の行使容認、憲法9条改正を実現させ、自主防衛に向けて歩み始めるべき時が迫っているのだ。

(HS政経塾 田部雄治)

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