2月9日に投開票される、東京都知事選の候補者によるテレビ討論会が行われた。参加した候補は、元日弁連会長の宇都宮健児氏、元航空幕僚長の田母神俊雄氏、元厚生労働相の舛添要一氏、元首相の細川護煕氏の4人。4候補が一堂に会するのは初めてのことで、その発言が注目された。

東京オリンピック、原発、待機児童問題などをテーマに討論が行われたが、今回は、東京オリンピックと待機児童問題について、各候補の意見を検証してみたい。

まず、待機児童問題についてだが、4候補とも保育園や託児所などの施設を充実させることでは一致したが、その方法論が異なっている。

舛添氏は「規制緩和を進め、認証保育所を増やす。100%基準を満たさなくても認証できるようにする」と、規制緩和によって施設の充実を進めることをうたった。

田母神氏は「3世代同居型の団地や町内会をつくり、隣近所で助け合う環境づくりが大切」と、施設充実に加え、世代間の助け合いの仕組みを提言した。

細川氏は「保育士の就労支援や待遇の改善を進め、民間にも参入してもらう」としたが、具体策に欠ける印象だ。

宇都宮氏は「保育士の賃金が安いため、よい人材が集まらないので、待遇を改善する。18歳までの子供の医療の無料化を行う」など、具体的ではあるがバラマキ的な施策が目立った。

宇都宮氏が提言するバラマキ型の政策は永続的ではない。この方法が人口増につながるなら「投資」といえるが、保育士の待遇改善や医療の無料化のような形で税金が使われることは、将来に富を生まない「消費」である。

また、オリンピックの設備投資についは、できるだけ簡素にすべきという意見と、これを契機にインフラ整備を充実させるべきだという意見に分かれた。

舛添氏は「最高のおもてなしをしたい。施設にしてもきちんとしたものをつくり、交通網、鉄道網も改善し、高速道路も整備しなくてはならない」と、積極的な計画を実現することを訴えた。

田母神氏は「公共事業を行って景気を良くし、国の経済を強くし、さすが東京といわれる五輪にすべき。五輪に合わせて老朽化したインフラを総点検し、耐震性を強化すべきだ」と、五輪を発展のチャンスにすべきだと主張した。

細川氏は「ぜいたくで過大な投資をして施設をつくることは見直すべきで、自然エネルギーを使った五輪を世界にアピールする」と、「脱原発」の持論を展開した。

宇都宮氏は「シンプルで環境に配慮した五輪にすべき。多額のお金を投資して巨大な建物を作るのは卒業しなくてはならない」と、新国立競技場の建設を槍玉にあげた。

舛添氏や田母神氏は、オリンピックを経済発展のチャンスと見ているが、細川氏と宇都宮氏は、できるだけコストを削減すべきだという考えのようだ。だが、オリンピックは十分に「投資」価値があると見るべきだ。建設されたインフラや施設は今後も使えるものだし、世界に日本の技術力や都市の力をアピールできるからだ。

「投資」と「消費」の区別がつけられるかどうかは、政治家の資質として大きい。東京がますます発展していくためにも、一時的に個人の懐が潤う政策ではなく、将来にわたって富を生み続ける政策を訴えている候補者を選びたいものだ。(佳)

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