猪瀬直樹知事の辞職に伴う東京都知事選に出馬を表明していた細川護煕元首相が、22日、都庁で正式な立候補表明の記者会見を開いた。

「政府が原発を再稼動させようとしている。そのことに改めて強い危機感を持った」と、立候補の意図を述べた。

細川氏は、かねてから「脱原発を訴えたい。勝ち負けは関係ない」と周囲に語り、小泉純一郎元首相とタッグを組んで「脱原発」をメインの争点に掲げて戦う意向を示していた。だが、本欄でも述べてきたが、エネルギー政策は国家戦略そのものであり、脱原発は都知事選の争点になりえない。

原発を止め、すべてを輸入燃料に頼ることになれば、有事の際、日本に燃料が入ってこなくなる。海外に生殺与奪の権をゆだねることは極めて危険である。

さらにいえば、この「脱原発」の政策には、東京や日本を衰退させる思想が入っていると言える。

最終エネルギー消費量と、国内総生産(GDP)の伸びはほぼ比例している。オイルショックを機に産業部門においては省エネが進み、エネルギー消費はある程度抑制できているが、運輸やサービス産業におけるエネルギー消費は、経済成長に伴って増加してきた。

データで見ても、1973年度から2009年度までのエネルギー消費の伸びは、業務部門(主にサービス産業など)2.7倍、運輸部門1.9倍となっている。

たとえ国際紛争などの有事が起こらなかったとしても、安価で良質な電力を供給できる原発を止めれば、同じコストで得られるエネルギー量は減り、GDPは縮小していく。

実際、22日の記者会見では、細川氏の「貧乏神」的な側面が現れていた。

記者会見では、「経済至上主義ではやっていけない。腹7分目で豊かさを感じられる社会を」と述べ、環境と景観を重視するために日本橋にかかる首都高速道路を撤去することも検討しているとのこと。

オリンピックについては、"過大"な施設計画を見直し、「簡素で優美な五輪を目指す」と述べた。

オリンピックを契機として高速道路や鉄道網などのインフラに思い切った投資をし、大胆な都市開発を推し進めれば、東京はまだまだ発展する。また、オリンピックは、世界の人々に日本の素晴らしさをPRする最大のチャンスでもある。

細川氏が行おうとしているのは、これと逆のことだ。首都高速を撤去し、オリンピックを簡素にするなら、東京は昔返りするだろう。「腹7分目」という言葉には、「経済規模を今の3割減にしていこう」という意図さえ感じられる。細川氏が知事になれば東京は確実に衰退していき、「首都」としての力を失ってしまうかもしれない。

東京は世界一の都市になれるポテンシャルを持っている。間違っても、東京の力を削ぎ落とし、衰退させるような人に都知事を任せるわけにはいかない。(佳)

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