猪瀬直樹知事の辞任を受けて23日に告示される東京都知事選挙に、細川護煕元首相が出馬するという観測が出ている。9日付朝日新聞の報道によれば、細川氏は「都知事選で有権者に脱原発を訴えることは重要だ。勝ち負けじゃない」などと語っており、出馬を検討しているようだ。細川氏は選挙準備を進めており、脱原発を同じく訴えている小泉純一郎元首相との連携の可能性を探っているという。

東京都知事選には、舛添要一元厚生労働大臣が出馬を表明しており、自民党が支援を検討している他、元日弁連会長の宇都宮健児氏、元航空幕僚長の田母神俊雄氏らが出馬表明している。安定した支持率で5年にわたり首相を務め、退任後も人気が絶えない小泉氏が支援するとなれば、細川氏が選挙戦の台風の目となる可能性もある。

細川氏擁立論が出る背景には、選挙戦を通じて脱原発路線の正当性をアピールしたいという、左派メディアなどの思惑が見え隠れしている。朝日新聞などは、作家の大江健三郎氏や作曲家の坂本龍一氏など、次々と文化人を担ぎ出して主張を代弁させては、脱原発キャンペーンを張ってきた。その流れの中で、今度は選挙を通じた脱原発運動のために、細川氏が担ぎ出されてきたという見方も成り立つ。

細川氏は安倍政権の原発再稼働の方針を「犯罪的な行為」などと批判し、「原発ゼロ」を訴えている。しかし、脱原発路線で冷静な政策議論を展開できる余地はもはや少ない。原発問題は、活断層問題や汚染水問題などメディアが次々と論点を持ち出しては、目に見えない放射線の恐怖を煽って世論を誘導しようとしてきたが、政策議論としてはほとんど片が付いていると言える。

そもそも福島第一原発の事故で放射線による死者は発生しておらず、原発周辺地域を除いて、ほとんどの地域で健康被害は発生しない。小泉氏らは核燃料の最終処分場がないことをやり玉に挙げるが、ガラスで固めた核燃料をステンレス容器で密封して地中深くに埋める「地層処分」なら、放射線はほとんど問題にならない。代替エネルギーの実用化はまだまだ先の話だし、もとより天然資源に乏しい日本にとって原発ほど現実的なエネルギー源はない。

東京は大国日本の発展を支える要として、世界に誇る国際都市へとますます飛翔していかなくてはならない。2020年にはオリンピックを控えており、そのためのインフラ整備などの準備も欠かせない。政策議論としてもはや終わっている原発問題を、しつこく都知事選にまで持ち出せば、選挙戦の争点がぼやけてしまう。都知事選を、左翼が非現実的な脱原発論をぶち上げる"弁論大会"にしてはならない。

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