海上自衛隊が初参加したリムパック多国間訓練(ハワイ:2010/7/6)

2010年12月号記事

幸福の科学総裁 大川隆法 対機説法

人生の羅針盤 No.166

新シリーズ

戦後65年日米安保と太平洋戦争の真実

【問】 私は埼玉県在住ですが、子供たちは沖縄のインターナショナルスクールに通っています。

日米安保が万一、破棄されるようなことがあれば、沖縄、尖閣諸島、与那国島などは真っ先に危機に直面すると心配しています。その際に日本がどう動くべきなのか、対応の仕方をお教えいただければと思います。

2010年5月23日・幸福の科学東京正心館における質疑応答より


今、普天間基地移設問題で日米安保が揺れています。

そんなときに限って、中国や北朝鮮が、また挑発的なことをやり始めています。

彼らは、普通であれば、静かにしていて、日米安保が崩れるのを待ちたいところでしょう。

挑発的なことをしたら日米安保を強化しなければいけないことになりそうなのに、それにもかかわらず、やるところを見ると、中国は自国の軍備拡張の結果について、かなり自信を持っていると思われます。

以前の中国は、アメリカと戦っても戦力に差がありすぎるから勝ち目がないと思っていたので、中国の仮想敵国は日本やインド、ロシアぐらいであり、アメリカは外れていたのですが、アメリカにも勝てるかもしれないという気持ちが、今、少し出てきているのです。

中国は、大陸間弾道弾もかなりの数を持っていますし、水爆を積んだミサイルもあります。

また、中国は、中国人が百人ぐらい死んでも怖くないけれども、アメリカ人は命を惜しがって、一人死んでも大騒ぎをするということも、中国はよく知っています。

例えば、尖閣諸島は日本の領土ですが、「万一、中国がここをパッと取ったとして、アメリカが自分たちに被害が出るのを覚悟してまで日本のために戦争をしてくれるかと言えば、してくれない」というのが今の通説です。

日本が攻められて戦争になったような場合には、アメリカは応援に出てくることにはなっていますが、「日本が自分でどうにかする気がないような島ごときを、わざわざアメリカが出て行って守りはしない。特に、中国は、最初は無人島から取ってくると思われるので、そのくらいでは動かない」と思われています。

中国は、まずはそういう既成事実をつくってくるだろうと言われています。

それから、中国は水面下では、やはり北朝鮮とつるんでいると思います。

だからこそ、一九九〇年代にとっくに潰れていてもいいはずの北朝鮮が、まだ潰れないのです。

北朝鮮を積極的に応援すると国際的非難を浴びるので、中国は北朝鮮をたしなめているようには見えるのですが、地下では応援していて、共通の利害を持っているところがあると思われるのです。

中国は北朝鮮を潰したくはないだろうと思います。

北朝鮮がなくなったら、例えば、韓国の勢力が朝鮮半島の北のほうまで攻めてきたときに、中国はそれに対する守りがなくなると思っているところがあります。

したがって、いつ何が勃発するか分からないような情勢が近づいてきているかもしれません。


中国は日本を分割統治する内部案を持っている

日本はどうかといえば、民主党政権ができたのは本当に運が悪いと言えば悪いのですが、ある意味では逆の面もあるかもしれません。

日本がタカ派政権だったら、何かあればすぐ応対しようとするでしょうが、「民主党政権なら何も判断ができない」と思って他国が日本を挑発してくる可能性もあります。それによって、初めて国民が「防衛というものが必要だ」という事実を知るというようなことが起きるかもしれません。

確かに沖縄は、昭和四十年代までアメリカの支配下にありましたし、県として日本のなかに入るということで、沖縄の方々が非常にご苦労されたことも知っています。米軍基地が沖縄に多いことに対し、負担が重すぎると言っていることも、よく分かります。

けれども、アメリカは、今のところ、いちおう世界最強国なので、日本にとっては、その世界最強国と同盟を結んでいることが、いちばん安全であるのは間違いありません。

やはり、国民全体の安全を考えると、日米同盟は堅持しなければいけませんし、もし、これを破棄するのであれば、破棄するまでの間に日本独自で防衛できる準備をしなければいけないのです。

ただ、今の段階でその準備ができているとは、とても思えません。

独自防衛ができるめどが立っているのならいいのですが、今、「日米同盟が崩れて、独自防衛もできない」ということになれば、これはもう、いつ何をどのようにされても文句は言えないのです。

中国側の戦略としては、「二〇五〇年ぐらいまでに、日本の西半分を中国の東海省にして、東半分は自治区にする」などという案も、内部的には持っているらしいことが分かっています(下図)。

日本の周辺の国は、そういうふうに考えているのです。

日本の西半分というと、ここ東京などは、どちらに入るか危ない。このへんでゲリラ戦なんかしたくないですね。

「東京は中国の一省に入れて欲しくないので、神奈川県までにしてくれ」とか、そんな惨めなところまで追い詰められてからゲリラ戦なんかやりたくはありません。そうなる前に止めておきたいものです。


アメリカが引いたら、日本は自国を守れるか

日本人に分からないのは、いろいろなことが非常に複雑に絡み合っている部分です。

例えば、日本と中国の経済は今、相当、依存し合っている関係にあります。日本の企業は、いろいろなものを中国の工場で作っていますし、中国との間で輸入も輸出もしていて、貿易額は大きくなっています。

アメリカと中国の間も、貿易額は大きいし、アメリカの国債も中国が大量に持っていて、保有額はナンバーワンです。

これだけの関係があったら、普通は戦争など起きないと思うでしょうが、アメリカでは、ある意味での「政経分離」がなされています。経済面で深い関係があっても、政治の分野になると、アメリカは「何が正義か」ということに基づいて動くのです。

「正義に反する」と思った場合は、経済のルールを無視して動きます。

例えば、突如、中国系の金融資産等を全部凍結してしまい、一切、動かせないようにして、戦闘体制に入ると思われます。

また、今までの歴史を見ると、海外において、地元の反対運動が非常に強くなったときには、アメリカも現実に基地や軍備を引いています。

フィリピンその他で引き払ったことがあるので、あまり激しく基地に対して反対運動をやると、本当に、「そんなに嫌われるのなら、なぜアメリカだけが一方的に守ってやらなければいけないのか」ということになります。

アメリカの若い人たちは、いざとなれば命懸けで日本を守るつもりでいるので、「なぜアメリカ人が、そんなに嫌われながら、日本人の命を守らなければいけないのですか。日本人が自分で守ればいいではないですか」ということです。

日本が「憲法を変えられないのです。アメリカからいただいた憲法ですから」と言っても、「そんなものは、自分たちで変えればいいではないですか。自分たちで変える気がないのなら、死んでください」ということで、アメリカは引くことはできるし、ほかの所では現実に引いたこともあるわけです。

アメリカは今、軍事予算を削減したいので、そうした反対があまり強いようであれば、引いていく傾向はあると思われます。

私は、今の状態では日本独自で国を守れないと思います。

一説によると、日本の自衛隊は、本当に戦争するということを想定していないので、実際の戦争になったら弾を一週間で打ち尽くし、弾が尽きるとも言われています。実に怖いところがあるのです。

ですから、日本がやるべきことの一つは、武器なども全部をアメリカに頼らず、やはり、ある程度、独自の軍事産業をつくっておかなければいけないということです。(以下、次号)