ドイツの連邦議会(下院)選挙で、メルケル首相率いる最大与党のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が第一党を確保し、首相の3期目の続投が確実となった。ドイツの総選挙が終わったことで、ギリシャ支援策などEU(欧州連合)が抱える諸問題への取り組みが再開されるが、真の解決策はどこにあるか。

メルケル首相は日本時間23日未明、祝賀会の会場を訪れ、「私たちは国民のための党である、ということを示すことができた。責任を持ってまっとうすることを約束する」と事実上の勝利宣言。だが、これまで連立政権の一角を担っていた自由民主党(FDP)の落ち込みは激しく、今後の焦点は、最大野党の社会民主党(SPD)との4年ぶりの大連立の復活の行方となってきた。

今回の選挙の争点は、雇用や教育、原発を含めたエネルギー政策などだった。だが、貿易黒字の増加や極めて低い失業率など国内経済は絶好調で、ユーロ圏でのドイツの独り勝ちが続き、当初からメルケル陣営の勝利が予想されていた。その意味で、選挙の行方に大きな関心を寄せていたのは、ドイツ国民よりも、EUや債務危機に揺れるユーロ加盟国(EU28カ国のうちの17カ国)など、ドイツ以外の国の人々だったのではないか。

それを裏付けるように、ドイツの総選挙が終わるまでは、ユーロ圏で問題となっているギリシャへの第三次支援策や、各国の中央銀行の機能を欧州中央銀行(ECB)に一元化する「銀行同盟」など様々な懸案を動かすことができず、「ドイツ待ち」の状態が続いていた。つまり、ドイツが動かなければ、EUやユーロ圏は動きが取れないのだ。

今、EUは経済問題を中心に揺れ続け、その影響は世界経済にもダメージを与えているが、このEUを救い、繁栄させる方法はあるのか。大川隆法・幸福の科学グループ創始者兼総裁は今年7月、EUについて、次のように指摘している。

「ドイツが強くなければ、EUは繁栄しません。やはり、ドイツへの“規制緩和"をしてやらなければいけません。各国からの見方を変えてあげなければならないでしょう。『時効』という概念を与えてやらなくてはいけないですよ。ヒトラー一人でやったことを、千年も万年も引っ張ってはなりません」「みんなでドイツを責め続けつつ、金だけをむしり取っているような状態でしょう。これでは力が出ません。日本と同じような状態ですよ」(以上、『政治革命家・大川隆法』より引用)

EUでは、「強いドイツ」への警戒論が根強いが、現在のドイツで力を持つのは、メルケル首相が党首を務める「キリスト教民主同盟(CDU)」であり、その名の通り、キリスト教をバックボーンにした「宗教政党」である。ちなみに、1930年代にナチスの独裁が強まったのは、当時、力を持っていた2つの宗教政党が解散させられて以降のことである。

ユーロ危機の拡大を防ぐために、これまでどの国よりも多くの資金を提供してきたのはドイツであり、EUはドイツなしでは立ち行かない。今回の総選挙を機に、EU諸国は、EUの救済と繁栄に向けて、「ドイツの解放・規制緩和」を進める必要がある。(格)

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幸福の科学出版HP 『政治革命家 大川隆法 幸福実現党の父』 大川隆法著

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