カネボウ化粧品の美白化粧品により、肌がまだらに白くなる「白斑」被害が出ている。この問題に関して、弁護士などの外部有識者が第三者調査結果を11日に公表した。

調査結果によると、2011年10月に白斑被害を訴える最初の問い合わせがあった。2012年9月には、大学病院の診断で製品が白斑を引き起こす可能性が指摘される。ほかにも、白斑被害を報告する問い合わせが何件も入っていた。それにも関わらず、カネボウが自主回収に踏み切ったのは2013年7月になってからであった。

対応が遅れた背景は、問題が無視されていたこと。些細な情報としてクレームが担当者に報告されなかったケースや、「白斑は製品とは無関係の病気だ」との認識で問題が放置されるケースが頻発していた。同調査を行った弁護士の中込秀樹氏は11日の会見で「事なかれ主義で(問題を)放置した」と事件の原因を指摘した。

結果として、白斑の被害者は1日の時点で9959人に上った。製品回収費用が膨らんだ上に、ブランド価値が落ち、カネボウの売り上げは2割ほど落ち込んだという。さらに、今後の訴訟等で多額の慰謝料が請求される可能性もある。

経営陣は、もっと早く問題を認識すべきであった。ナポレオンも「悪い報告から先にはじめよ。良い報告は明日でよい」と部下に指導していたというが、危機に関する情報を集める平時の努力が必要だった。

優良企業ほど、悪い情報をいかに洩らさずに集め、迅速に対応するかに心を砕いている。

例えば、coco壱番屋の宗次徳二社長は、毎朝4時に起き、全国各地から寄せられる「お客様アンケート」を何百通も読んでいたという。顧客のニーズをつかむだけでなく、顧客の苦情が「些細な問題」と判断され、トップに上がってこないという事態を防ぐための努力をしているわけだ。

また、都合の悪い事態への迅速で潔い対応も求められる。2005年に松下電器のFF式石油ストーブ死亡事故を起こした際の対応は今も評価が高い。死亡者への補償のみをするという判断もありえたなか、テレビCMに大々的な広告を打ち、事故商品に関するお詫びと回収のお願いをしている。この対応が、逆に好感度を高めたといわれている。

不都合な真実は、無視したくなるのが人間の心理だ。そうした情報をいち早く認識するために、企業努力がなされているかどうかは、どこかで試される。(光)

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