今回の衆院選では「脱原発」政党が軒並み敗北したが、左翼系のメディアはその民意を認めず、原発を止めることに引き続き血眼になっている。しかし、脱原発派が掲げた「10年以内に全原発の完全廃炉」「2030年代に稼働ゼロ」などが本当に実現可能なのだろうか。

その実現可能性を検証した政党は皆無であったし、マスコミによる検証記事もなかった。実際、原発を廃炉にするにはどれだけの工程が必要なのだろうか。具体的には、準備期間を経て、使用済燃料搬出期間、原子炉周辺設備解体撤去期間、原子炉本体解体撤去期間、そして建屋解体期間の各工程を要する。

現在、日本原子力発電の東海発電所が1998年からその廃止行程中にあり、2014年から5年間を要する原子炉本体解体撤去工事に入り、建屋すべての解体工程を終了するのは2020年、つまり全工程で23年間かかる計算だ。さらに、新型転換炉「ふげん」も2010年から使用済燃料搬出期間に入っており、最終的な廃止完了は2033年までだ。

このように現実的には相当の期間がかかり、平成に入ってから建設された最新鋭の大規模原発をこれから廃止するなどといったら、それ以上の期間がかかる。仮に全原発を廃止しようと決めたとしても、各原発の使用済燃料の搬出先をどこにするのか、これから検討するわけであり、こうしたプロセスを無視して、直ちに廃止措置に取り掛かることなど到底不可能だ。

本来は、電力の安定供給という日本経済全体の課題を無視して、「10年以内に全原発の完全廃炉」などという非現実的な政策が国選選挙で主要な争点となることが今後あるべきではないだろう。来夏の参院選に向けて、さらに安全性を高める骨太な原発推進論の提示こそ必要だ。(富)

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