3年前の悪夢が再び現実化しそうな気配がただよっている。

当時、民主党は、政治主導の官僚改革を打ち出し、国民の期待を担う形で政権交代を果たした。しかし、その結果は、ことごとく国民の期待を裏切ることになり、マスコミはすでに「次は誰だ」とばかりの報道を始めている。

そこで、浮上してきているのが橋下徹大阪市長だ。大阪府知事としての府政改革に辣腕をふるったことから、国民の期待が集まり、すでに「橋下首相」を前提とした論評も見え始めている。

橋下氏なら、自民党も民主党もできなかった政治主導の官僚改革を断行するに違いないと期待されているのだ。

その一人が、ジャーナリストの屋山太郎氏。21日付本欄でも少しだけ触れたが、屋山氏は、近著『屋山太郎が読み解く橋下改革』で、橋下改革はポピュリズム(大衆迎合主義)ではなく、「本物の政治家が誕生する、その走りの事象」だと絶賛する。

屋山氏は、長年行政改革に携わり、一つのライフワークとしているだけに、"官僚に強い人物"に惹かれてしまうのだろう。

しかし、残念ながら、同氏の期待は裏切られる可能性が高い。

幸福の科学では、こうした世論の高まりを受けて、すでに橋下市長の本質を見極めるべく、その守護霊を呼び出して、宰相の器であるかどうかを確認している。

その内容は、6月4日発売の『徹底検証 橋下徹は宰相の器か』(大川隆法著、幸福の科学出版刊)に詳しいが、「宰相の器でなかった」というのがその結論だ。

橋下氏の守護霊は、自らをポピュリストと認め、国家権力への反逆を使命とし、国防に関する関心は薄いという趣旨の発言をしている。

舌鋒鋭く「敵」をやり込める能力が高いことから、公務員改革への期待が高まるが、実際にはこれという政治的信念があるわけではないのだ。

にもかかわらず、今、多くの人が橋下氏を支持し始めている。屋山氏だけでなく、堺屋太一氏、上山信一氏、竹中平蔵氏、岡本行夫氏、古賀茂明氏、鈴木亘氏、高橋洋一氏、中田宏氏などがブレーンとして協力したり、期待を寄せる発言をしたりしており、まさに多士済々。

これだけ多くの優秀な人材が一度に「騙される」としたら、ある意味で、民主党に騙されたときより深刻だ。民主党と橋下氏の共通点は「ポピュリズム」であり、3年前の教訓を、何一つつかんでいないことを意味するからだ。

屋山氏の著作は、そんな怖さを象徴する一冊となりそうだ。(村)

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2012年5月21日付本欄 【雑誌読み比べ】 やはり「橋下首相」を煽り続ける週刊誌

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=4311

2012年7月号記事 橋下徹の本音―ポピュリズムと地域主権の罠―

http://www.the-liberty.com/topics/2012/14.html