東日本大震災に伴う原発事故を受けて、東電は、原発停止を余儀なくされ、燃料コストが大幅に上がった。

その上、約1兆2500億円もの巨額の賠償金を原子力損害賠償支援機構に9年かけて返済しなければならない。

こうして経営が圧迫されたことが、そもそも東電が実質国有化されることになったきっかけだ。

当然、これだけの負担は一企業ではできないから、公的資金1兆円を7月に資本注入することが決定している。議決権の過半数を国が握るため、実質的に国の管理下で経営再建を図ることになる。つまり「国有化」だ。

この実質的な国有化を受けて、東電は14日、新たな経営体制を発表した。

社長に就任する広瀬直己常務ら4人を除き、勝俣恒久会長、西沢俊夫社長ら現経営陣はほぼ総退陣する。

新会長には、原子力損害賠償支援機構の下河辺和彦運営委員長が就任する。下河辺氏は弁護士出身で、これまでカネボウなどの企業再建にあたってきた人物だ。

また、4月からは企業向けの電気料金を17%、7月からは家庭向けを10%値上げし、柏崎刈羽原発を再稼動させることとしている。

なお、2012年3月期の決算(11年度決算)は、7816億円もの純損失。13年度には黒字転換を図る予定だ。

それにしても、原発事故で、実は具体的な被害は何も出ていないにもかかわらず(少なくとも死者はゼロ)、原発をすべて止めてしまい、電気料金の値上げを強制され、巨額の賠償金を背負わされるのは理解に苦しむところだ。

原発の再稼動を前提にするのであれば、そもそも原発を止める必要はない。ならば、電気料金も上げる必要もない。東電が巨額の賠償金を支払わなければならない理由も実はよく分からない。

なにか、健康な人をつかまえて、「がん」だと誤診し、無理やり入院させ、しなくてもいい手術をし、膨大なお金と時間を失わせたような感じがするのは気のせいか。(村)

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