国際政治学者
佐久間 拓真
(ペンネーム)
国際政治の中でも特に米中関係、インド太平洋の安全保障、中国情勢を専門にし、この分野で講演や執筆活動、現地調査などを行う。
中国による南米への進出は、単なる貿易拡大や投資の問題ではない。資源、農産物、金融、インフラ、エネルギーなど経済の重要分野に中国の影響力が入り込むことで、相手国の経済的な対中依存を高め、結果として外交・安全保障上の選択肢まで狭めかねない。アルゼンチンは、その典型的なケースの一つである。
貿易・資源・食料で深まる中国依存
象徴的なのが貿易である。アルゼンチン政府によると、2026年1~8月、中国はアルゼンチンの輸入の22.9%を占め、中国からの輸入は最大だった。一方、輸出先として中国は9.2%を占める。さらに同期間、アルゼンチンの対中貿易赤字は51億ドルに達した。つまり中国は、アルゼンチンにとって巨大な販売市場であると同時に、製品・機械などを供給する圧倒的な輸入元でもある。
より重大なのが資源である。アルゼンチンは世界有数のリチウム資源国であり、中国企業はリチウム開発に積極的に参入してきた。中国企業Tibet Summit Resourcesは2022年、サルタ州の二つのリチウム事業に計22億ドルを投資する計画を発表した。また、中国系のTsingshanもCentenario-Ratonesプロジェクトに49.9%出資している。






















