幸福実現党(釈量子党首)が「脱炭素」政策の見直しを訴え、さまざまな取り組みを行っている。2月14日には都内の防災士研修センターを会場に「~無意味な"脱炭素"をやめよう!~"脱炭素"反対集会」を主催。同25日には、内閣府を通して高市早苗内閣総理大臣宛てに、「『脱炭素』政策の見直しを求める要望書」を提出した。
同党はこれまで、メガソーラーや洋上風力発電などを推進する再生可能エネルギー政策について「再エネ賦課金が家計の負担を増やす」「高コストで電気代高騰を招く」などの問題点を指摘し、中止を訴えてきた。「150兆円のGX投資」については「経済を破壊し、国益を損ねる」と反対しており、政府の仕事の減量、減税、規制の撤廃の実現を目指す「小さな政府・安い税金推進本部」としても見直しを提言している。
14日の「"脱炭素"反対集会」の基調講演では、キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・杉山大志氏が登壇。杉山大志氏は、温暖化問題やエネルギー政策を専門としており、国連気候変動政府間パネル(IPCC)や省エネ基準部会などの委員を歴任。「温暖化対策」の最前線を知る立場から、「気候変動の原因はCO2の排出」という説について「データとの乖離」などを挙げて見直しを訴えた。
杉山氏「データを見ると、CO2と気候変動は関係がない」
杉山氏は講演で、「温暖化で災害が激甚化」「人類生存の危機」になるとの風説に対しては、「データをしっかり見る」ことが大事であると主張。「温暖化により台風の数が増えている」という説についても、「気象庁発表のデータを見れば『毎年の発生数』『強い台風の数』も、実は変化がない」などと指摘した。
「CO2の排出量に比例して気温が上昇している」という説についても、「温暖化の原因がCO2であることを前提としたモデルをつくっており、モデルの数式の中の数値は『チューニング』により、『どのくらい温暖化するか』という結果を見ながら人為的に設定されている」との実情が論文化されていることを紹介した。
「上空の気温上昇」や「海面の温度上昇」のシミュレーション数値と、実際の観測値を比較すると、シミュレーション結果は、実際の温度の2倍ぐらいのスピードで数値が上がっている事例も紹介。「過去の数値すら再現できないモデルで、将来予測が当たるはずがない」として、温暖化モデルに基づく判断に警鐘を鳴らした。
杉山氏「排出権取引は事実上の増税」
杉山氏は日本の二酸化炭素排出量が2013年から20%ほど減ったことについても、「政府の脱炭素政策ではなく、その要因の7割以上は、産業空洞化による経済活動量の低下」で、工場が減ったことだと指摘。「電気供給は原子力発電所の再稼動や今ある火力発電所を使うことが断然安い。再エネは時間帯や天候によっては発電できないので、いくら造っても火力発電所はなくせず、二重投資が必要になる。電気代が上がって、企業のコストが上がるばかり」と問題視した。
現在、日本政府は再生可能エネルギー推進のため、10年間で官民150兆円のGX投資を進めており、その呼び水として「GX経済移行債」を10年間で20兆円規模で設定する。
杉山氏は、2050年までに日本がCO2排出量をゼロにできたとしても、世界の平均気温に与える影響は「わずか0.006度」と指摘する。アメリカのトランプ政権が、CO2規制の廃止について「経済効果が1兆ドル(約150兆円)ある、史上最大の規制緩和」と言っていることを挙げ、「日本も同じことをやれば150兆円の規制緩和になる。ぜひやったらいい」と計画の見直しを勧めた。
さらに政府は、CO2の排出が一定量を超える企業に排出枠を割り当てる「排出量取引制度」を2026年度から、化石燃料の輸入事業者に課せられる「化石燃料賦課金」を2028年度から導入する方針だ。
杉山氏は、GXのための「排出量取引制度」や「化石燃料賦課金」は「事実上の増税」と指摘。「菅政権からGX制度は着々と進んできていて、役所は一度勢いがつくと、自分たちから変えられないのでどんどん肥大化していく。政府で進められているGX政策にストップをかけられる政党が今のところない」と指摘した。
江夏幹事長「経済活動でペナルティが取られて、経済成長するわけがない」
集会では、幸福実現党「小さな政府・安い税金推進本部」推進本部長の江夏正敏幹事長が、政府が「GX投資によって経済成長するとしている」ことに対し、「経済成長する分野であれば、国が補助金を出さなくても民間企業が勝手に取り組む。しかし、企業に排出量取引を課すとなれば、経済活動をしたらペナルティが取られる。それで経済成長するわけがない。GXはまがい物であり、日本を奈落の底に落とすと考えていただきたい」などと訴えた。
集会の最後に、各地の代表が「脱・脱炭素」実現に向けた決意を表明。会場では再稼働の見通しが立たなくなっている中部電力浜岡原発を擁する幸福実現党静岡県本部の石田勝也代表、東海第二原発再稼動に向けて取り組む同党茨城県本部の大貫秀子代表が登壇。九州電力川内原発の地元・薩摩川内市議の松澤力議員と、福島県小野町議の会田百合子議員からはメッセージ動画が寄せられた。今後、幸福実現党は各地で「増税反対・GX反対」集会を行う予定だ。
高市首相宛てに「『脱炭素』政策の見直しを求める要望書」を提出

内閣府で要望書を提出する幸福実現党「小さな政府・安い税金推進本部」推進本部長の江夏幹事長(中央)、曽我周作氏(右)、党政調会エネルギー部会長の壹岐愛子氏(左)。
2月25日には、江夏幹事長らが内閣府を通して、高市早苗首相宛てに「『脱炭素』政策の見直しを求める要望書」を提出。「非効率で高コストな再エネや脱炭素技術に『投資』すれば経済低迷を招き、国力を低下させるだけではないかと危惧します」「日本の製造業が高い電気料金に苦しむ一方、世界一のCO2排出国である中国は、石炭火力発電所を増設しています。日中間のエネルギーコストが開けば、日本の産業空洞化は進み、中国を利することになります」として、GX政策の転換を求め、以下を要望した。
一、FIT(固定価格買取制度)、FIP(フィードインプレミアム)といった再エネ優遇策を含めた政府主導の再エネ投資を直ちに見直すこと。
一、GX経済移行債の発行をやめ、その原資となる排出量取引制度と化石燃料賦課金の制度をやめること。
一、既存の原子力発電所の再稼働と新増設を進めるとともに、調達先が多く、エネルギー安全保障に資する石炭火力発電所の段階的廃止方針を撤回し、増設を進めること。これにより、安くて安定した電力の供給体制を築き、エネルギー安全保障を強化すること。
GX見直しは世界の潮流
世界的には、政府主導のGXには見直しがかかっている。アメリカではトランプ政権が「気候危機説」を科学的に点検した上で全面的に否定し、バイデン政権時代の再エネや電気自動車への補助金が実質的に撤廃された。また、EUでは、消費者ニーズに合わない急激な「2035年のガソリン車禁止」が撤回。「気候危機説の嘘」や「市場で受け入れられるまでの時間」を、政府が補助金などで縮めることの限界を反映した見直しが始まっている。
日本各地では、メガソーラー建設により自然破壊が進むとして反対運動が盛んになり、高市政権もメガソーラーに規制をかける見通しとなっている。ただ、菅政権から岸田、石破政権へと引き継がれてきた脱炭素政策自体は、転換することなく進んでいる。民間の活力を引き出す「安い税金・小さな政府」の方針で経済・エネルギー政策を立て直すべきだろう。
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