みなさん、こんにちは。

今年6月27日、長年、紛争状態にあったアフリカのルワンダとコンゴ民主共和国が、米トランプ政権の仲介で和平合意に署名しました。このニュースは日米両国であまり報道されず、NHKが小さく取り上げた際もトランプ氏について「アフリカの鉱物資源が狙い」「和平に取り組む姿勢をアピールすることで巻き返しを図るとみられる」など、例によって悪意さえ感じさせる報じ方でした。本誌8月号記事「それにしても、日本のトランプ報道はひどい!」にある通りです。

しかし、この和平は地球平和実現の一環として歴史的意義を有する出来事であり、最近のアメリカでは「Peace Maker」(平和の調停者)と称されることの多いトランプ大統領の功績として正当に評価されるべきです。

今回は、両国の紛争が長期化する要因となった「ルワンダ虐殺」を描いて評価の高い、実話ベースのドラマ『ルワンダの涙』をご紹介します。

【あらすじ】

イギリス人の老神父クリストファーはルワンダで技術学校を経営していた。同校は国連平和維持軍のベルギー人兵士らのキャンプでもあった。1994年4月、フツ族が同じルワンダ人のツチ族を無差別に大量虐殺し始め、同校はツチ族の避難所となる。国連軍が白人住民のみを連れて撤退・帰国する中、神父は避難民にカトリックの聖体拝領を施し、自らの命の危険を顧みず、彼らと共に残る決意をする──。

虐殺では約100日間で国民の2割にあたる100万人が亡くなったとも言われています。遠因はベルギーによるルワンダの植民地化に発しており、トランプ政権による和平調停は、白人が植民地主義でつくったカルマの償いであるとの見方もできます。

アフリカは日本から地理的に遠く、私たち日本人はその歴史や文化について知識も関心も乏しいのが実情です。しかし、やはり同時代の地球に生きる同胞として、世界各国の現代史にも関心を持ちたいものです。大川隆法・幸福の科学総裁は著書『観自在力』で、こう述べています。

『阿羅漢から菩薩へ』『菩薩から如来へ』と移っていく過程は、実際のところ、『霊的進化の過程において、関心領域がどれほど広がっていくか』ということとも関係しています。そして、『関心の領域が広がる』ということは、『その人の愛が広がっている』ということと関係しているのです。逆に言うならば、『愛の広がり』とともに、関心は広がっていかざるをえないのです

この意味で、実話ベースの優れた洋画は、またとない教材です。それは、物語と映像という人間的かつ感性的なチャンネルを通して、諸外国の歴史、文化、人びとについて私たちの関心を広げ、「霊的進化」と「愛の広がり」を促してくれます。自分の日常に近くてわかりやすい新作邦画やテレビドラマばかりでなく、本作のような外国の近現代史を題材としたシリアスな洋画も、意識して鑑賞することが大切であると思います。

ルワンダ虐殺を描いた映画では『ホテル・ルワンダ』(2004年)も有名ですが、あちらがルワンダでなく南アフリカで撮影されたのに対し、こちらはストーリーが基づいている現地で撮影されています。また、虐殺で家族を失いながらも生き延びた人びとが制作スタッフとして複数参加しており(エンドクレジットで紹介)、現地が記憶している、常軌を逸した人間の残虐性への恐怖、悲しみ、平和への願いが、嘘のないリアリティをもって迫ってきます。

そして主人公が神父なので、リバティ読者の皆様は彼の宗教者としてのあり方に感動されることでしょう。クリストファー神父は、国連軍と共に帰国する若いイギリス人英語教師から「なぜ残るんですか」と聞かれて、こう答えます。

「君は私に聞いたことがあったね。こんな苦しみしか起きていない場所で、どこに神などいるのかと。私には神がどこにいらっしゃるか、はっきりとわかる。神は、まさにここにいる(He's right here)。この苦しんでいる人たちと共にいる。神の愛はここにある(His love is here)。それをこれほど強く深く感じたことはない。そして私の心も、私の魂も、ここにあるんだ。ここを去ったら、それが二度と見つからない気がする」

神父の愛は、結局は虐殺の暴力の前に非力に終わります。けれども、それは地球の平和を実現するうえで、本当に非力だったのでしょうか。虐殺の10年後、彼の実話はこの映画に結実し、史実と、そのなかを生きた勇気ある人間の真実を、世界に知らしめたではありませんか。そして、そこから20年後の今、ルワンダとコンゴの和平が実現し、地球は争いごとや憎しみのない星に一歩近づいたではありませんか。

過酷な状況の中で、たとえその時点では非力に見えたとしても、人が神を信じ、神に祈り、神の心にかなった愛を実践する限り、その愛は決して無駄になることはない。必ずや一粒の麦となって実りをもたらし、地球平和のための一歩となる。本作を鑑賞されることで、改めてそう信じていただければ幸いです。

(田中 司)

 

『ルワンダの涙』

【スタッフ】
監督:マイケル・ケイトン=ジョーンズ
【キャスト】
出演:ジョン・ハート ヒュー・ダンシーほか
【その他】
2005年製作 | 115分 | イギリス・ドイツ

DVD、各種映像配信で視聴できます。

【関連書籍】

観自在力

『観自在力』

大川隆法著 幸福の科学出版

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